「……学校見学？」

「うん。行ってみようと思うんだけど
すず、一緒に行かない？」



お店の手伝いが終わった後
いつものように、一緒に勉強をしていたら
佐奈がそんな事を言い出した。



佐奈の言う「学校」は
あたしが在籍している通信制の高校だ。


前に、あたしが学校の話をした時に
佐奈が、興味を引かれたみたいだったから

良かったらと
入学案内のパンフレットを渡していた。


佐奈はその後
両親と話して、あたしの在籍してる
その学校に通うことを決めたようだけど


入学試験を受ける前に、一度
学校を見学してみたいと思っていたようで。



「調べたら、ちょうど
見学会を受け付けてたんだ。」

「……そういえば、そんな内容のプリントが
学校から送られて来たような……ああ、あった。」



机の引き出しの中から発見した
「学校説明・見学会」についてのプリントを
佐奈と一緒に眺める。



入学希望の人や
在籍はしつつも、一度もスクーリングに参加したことがない人向けに


実際の授業風景や
学校の雰囲気を知って貰うための
見学会(オープンスクールのようなもの)が
年に数回あるらしい。


条件に当てはまるあたしにも
その案内が届いていた。



「すず、接客も、もう普通に出来るし
外出も出来るようになったんでしょ？」

「う、うん。」



夏も終わり、季節は秋。


季節が移り変わる
この数ヶ月で、自分も随分と成長した。


お店の手伝いの中で
一番ハードルの高かった接客も

紆余曲折を経て
なんとか、こなせるようになり

接客で経験値を積み上げた結果

他人に対しての恐怖心もだいぶ和らいで
人の目に過剰に反応することもなくなった。


おかげて、今では普通に外出できるようにもなった。