――…
「おいしかった。ごちそうさま、すず。」
「どういたしまして。」
光の速さで、お菓子を完食したひもろぎさんは
満足そうな笑顔をあたしに向ける。
「ひもろぎさんは
本当に甘いものが好きなんだね。」
ひもろぎさんの小さな身体には
なかなかの量だったと思うけど…
あれを
ひとりで食べ切るなんて感心してしまう。
あたしも、甘いものは嫌いじゃないけど
あんなに食べたら、胸焼けしちゃう。
「反動かな。
昔は甘いものなんて贅沢品だったから。」
笑顔で返ってきたその言葉に
あたしの体はピクリと反応する。
「……そっか。」
……「昔」と聞くと
どうしても、前に聞いた
ひもろぎさんの過去の話が頭に浮かんで
胸の中が複雑な気持ちになる。
佐奈の事があったから
ずっと、意識をそらす事が出来ていたけど…
その言葉が呼び水になって
どんどん、あたしの心の中には
重苦しい感情の波が広がっていく。
「……すず?」
「…ん?」
「ごめん。僕、何か困らせること言ってしまった?」
「ううん。そんなことないよ。」
「…」
笑顔を返しながらも
ひもろぎさんの顔をまっすぐ見続けられなくて
ごまかすように
あたしはお茶の片付けを始める。
でも、ちょっと不自然だったのか
ひもろぎさんは訝(いぶか)るように
無言であたしを見つめてる。
……だめだめ。
あたしが沈んだ顔を見せたら
優しいひもろぎさんは、心を痛めてしまう。
せっかく、喜んでくれたのに
それを、台無しにするような真似はしたくない。
そっと目を閉じ
なんとか、気持ちを整えて
「ひもろぎさん、明日は何が食べた…」
気を取り直すように
明るく、ひもろぎさんに声をかけようと
振り返れば
とん、と
あたしの顔は
柔らかいような固いような何かにぶつかった。
「…」
……胸?
着物の隙間から覗く、しっかりとした胸板。
?と思いながら
視線を上へと運べば…
目の前に立っていたのは
ここ最近、見ることのなかった
同い年バージョンのひもろぎさん。
「おいしかった。ごちそうさま、すず。」
「どういたしまして。」
光の速さで、お菓子を完食したひもろぎさんは
満足そうな笑顔をあたしに向ける。
「ひもろぎさんは
本当に甘いものが好きなんだね。」
ひもろぎさんの小さな身体には
なかなかの量だったと思うけど…
あれを
ひとりで食べ切るなんて感心してしまう。
あたしも、甘いものは嫌いじゃないけど
あんなに食べたら、胸焼けしちゃう。
「反動かな。
昔は甘いものなんて贅沢品だったから。」
笑顔で返ってきたその言葉に
あたしの体はピクリと反応する。
「……そっか。」
……「昔」と聞くと
どうしても、前に聞いた
ひもろぎさんの過去の話が頭に浮かんで
胸の中が複雑な気持ちになる。
佐奈の事があったから
ずっと、意識をそらす事が出来ていたけど…
その言葉が呼び水になって
どんどん、あたしの心の中には
重苦しい感情の波が広がっていく。
「……すず?」
「…ん?」
「ごめん。僕、何か困らせること言ってしまった?」
「ううん。そんなことないよ。」
「…」
笑顔を返しながらも
ひもろぎさんの顔をまっすぐ見続けられなくて
ごまかすように
あたしはお茶の片付けを始める。
でも、ちょっと不自然だったのか
ひもろぎさんは訝(いぶか)るように
無言であたしを見つめてる。
……だめだめ。
あたしが沈んだ顔を見せたら
優しいひもろぎさんは、心を痛めてしまう。
せっかく、喜んでくれたのに
それを、台無しにするような真似はしたくない。
そっと目を閉じ
なんとか、気持ちを整えて
「ひもろぎさん、明日は何が食べた…」
気を取り直すように
明るく、ひもろぎさんに声をかけようと
振り返れば
とん、と
あたしの顔は
柔らかいような固いような何かにぶつかった。
「…」
……胸?
着物の隙間から覗く、しっかりとした胸板。
?と思いながら
視線を上へと運べば…
目の前に立っていたのは
ここ最近、見ることのなかった
同い年バージョンのひもろぎさん。


