「何か気になった所はなかった?」
「気になった所?」
「どこか痛そうにしてたとか。」
「ううん。
どこか悪いの?って聞いてもみたけど
大丈夫って言ってたし…
体自体に問題があるわけじゃなさそう。」
食欲は湧かないみたいだけど
全く受け付けないわけじゃないし
体のどこかを痛がるような素振りもなかった。
問題があるとすれば、きっと、心の方だろう。
「……ただ…」
ふっと、頭に浮かんだ光景。
「………なんかね、ずっと
何かを、誰かを探してるような感じはした。」
お店の前を行き交う人を眺めては
落ち込んだ顔をする。
まるで、迷子になった子供のように
心細そうな面持ちで
不安そうに瞳を揺らしている。
そんな佐奈の姿。
「………そうか。
佐奈は一正(かずまさ)より早かったんだね。」
「え?」
あたしのその言葉に
ぴくりと反応したひもろぎさんは
ひとりごとのように小さく呟くと
過去を懐かしむような遠い目で
頭上の空を眺めた後、おもむろに立ち上がる。
「佐奈は大丈夫。
ちゃんと、元気になって戻ってくるから。」
ここではないどこかに
想いを馳せていたひもろぎさんは
意識をあたしに戻すと、安心させるように笑顔を向けた。
「……ひもろぎさん、何か知ってるの?」
「ちょっとね。だから
今から、お節介焼いてくるよ。」
言いながら、ちゃぶ台の上に置かれたクッキーを何枚か手に取ると
「え、ひ、ひもろぎさん…?」
「すずは目覚めるまで
ゆっくりしていって。じゃあ、またね。」
詳しい説明もないまま
戸惑うあたしを残して
ひもろぎさんは、そのまま姿を消した。
「気になった所?」
「どこか痛そうにしてたとか。」
「ううん。
どこか悪いの?って聞いてもみたけど
大丈夫って言ってたし…
体自体に問題があるわけじゃなさそう。」
食欲は湧かないみたいだけど
全く受け付けないわけじゃないし
体のどこかを痛がるような素振りもなかった。
問題があるとすれば、きっと、心の方だろう。
「……ただ…」
ふっと、頭に浮かんだ光景。
「………なんかね、ずっと
何かを、誰かを探してるような感じはした。」
お店の前を行き交う人を眺めては
落ち込んだ顔をする。
まるで、迷子になった子供のように
心細そうな面持ちで
不安そうに瞳を揺らしている。
そんな佐奈の姿。
「………そうか。
佐奈は一正(かずまさ)より早かったんだね。」
「え?」
あたしのその言葉に
ぴくりと反応したひもろぎさんは
ひとりごとのように小さく呟くと
過去を懐かしむような遠い目で
頭上の空を眺めた後、おもむろに立ち上がる。
「佐奈は大丈夫。
ちゃんと、元気になって戻ってくるから。」
ここではないどこかに
想いを馳せていたひもろぎさんは
意識をあたしに戻すと、安心させるように笑顔を向けた。
「……ひもろぎさん、何か知ってるの?」
「ちょっとね。だから
今から、お節介焼いてくるよ。」
言いながら、ちゃぶ台の上に置かれたクッキーを何枚か手に取ると
「え、ひ、ひもろぎさん…?」
「すずは目覚めるまで
ゆっくりしていって。じゃあ、またね。」
詳しい説明もないまま
戸惑うあたしを残して
ひもろぎさんは、そのまま姿を消した。


