きみはあたしのライラック

――……



「……佐奈がバイトを休んでる?」

「うん。」

「何かあったの?」



数日前から、佐奈がバイトを休んでいることを
ひもろぎさんに伝えれば

ちゃぶ台の上の置いてあったクッキーに
伸ばしていた手をおろして
ひもろぎさんは心配そうな声で聞いてきた。



「詳しくは分からないんだけど
ずっと、心ここにあらず、みたいな感じで
顔色も悪くて…」



おばあちゃんから話を聞いた後
あたしは頻繁に
佐奈の様子を見にお店に顔を出していた。


おばあちゃんの言う通り
佐奈は、ずっとぼんやりしていて
反応も動作も鈍く、仕事に支障をきたしていた。


出来る限りのフォローはしたけど
その後も、佐奈の調子は良くならず。



「しばらく様子見てたんだけど
昨日、おばあちゃんがストップかけたの。
しばらく休みなさいって。」



下手をしたら倒れかねない状態が続いたため
おばあちゃんは佐奈に
落ち着くまで休養するようにと言い渡した。



最初は大丈夫だと
主張していた佐奈だったけど

今の自分では
足手まといにしかならないと悟ったようで

申し訳なさそうな表情を浮かべながら
おばあちゃんのその言葉に頷いた。