きみはあたしのライラック

「…」



目が覚めても
ベッドから起き上がる気になれなかった。


横になったまま、ぼんやりと
昨日のひもろぎさんの言葉を反芻する。




『夢を介して、色んな人と出会いながら』




…………寂しさを、抱えている人だと思った。



いつも笑顔で前向きで
明るいひもろぎさんだけど

本当は、とても寂しいんだと

想像もできないくらい
深い寂しさを、心の奥底に抱えているんだと


抱き締めた時に
腕の中で、ひもろぎさんが見せた
あの表情から、そう感じた。



『人』じゃないって言うけど
確かに、普通の人ではないかもしれないけど
ひもろぎさんは間違いなく『人』だ。

人の心を、感情を持っている。



自覚があるのかは、分からない。

無意識なのかもしれない。


だけど、ひもろぎさんは『人』を求めてる。