きみはあたしのライラック

役目に縛られた人生から
ようやく解放されたと思えば

待っていたのは、終わりの見えない日々。


ただの人の子が
神に等しい時間と力を手に入れて
心は変わらないのに、人の理(ことわり)からは離れていく。



「辛い時も、苦しい時も、たくさんあった。
大事に想った人達は、みんな
僕を置いていってしまうから。」



どれだけ願おうと、拒もうと
いつも、自分は見送る側で、置いていかれる。

繰り返す別れに、心は疲弊していた。



「でも、その人達が残したものは
生きた証は、いたって証は、ちゃんとあるから。」



だけど

大事な人が残したものがある。続いたものがある。



「僕は大事な人のために、よりましになった。
大事な人達の未来を守るために。
その人達が紡いだ「未来」が今もちゃんと続いているから。」



それを見守ることが出来るから




「それに気づけたから。だから、大丈夫なんだ。」




受け入れることができると。




「それに、僕にはみなかみさまもいる。」




傍にいてくれるひとがいるから




「ひとりじゃなければ、生きていける。」




大丈夫なんだと、ひもろぎさんは言う。