きみはあたしのライラック

「…」



……気まずい。



足取りも、いつもより少しだけ重い。


真っ白な世界を歩きながら
あたしは小さくため息をこぼした。



『どんな相手でも大丈夫なように』



……戸惑いつつも
ひもろぎさんのその言葉には、頷けたから


他人(ひと)に慣れる練習にもなるからって
続けていたけど…


昨日みたいに、変な感じになってしまうなら
もう、あの姿のひもろぎさんと交流するのは
辞めた方が良いのかもしれない。


……その方が、あたしにとっても
ひもろぎさんにとっても良い気がする。



このままだと
あたし、きっと―……




「…」




ぴたりと足を止める。






……

………。




「………きっと?」



心の中で思った言葉に、あたしは疑問を抱く。



きっと、何だって言うんだろう。



………考えちゃ、だめだ。



目を閉じて、打ち消すように頭を振る。



その先に続く言葉を考えてはいけない。


ちらりと顔を覗かせたその感情に
名前をつけてはいけない。



「…」



……芽生えたところで
咲くことなんてないんだから。