きみはあたしのライラック

だから、ああも過剰に反応するのかと。



「……な、何言って…」

「それとも、まだ慣れてないだけ?」



うろたえるあたしとは違って
落ち着いた表情を浮かべている、ひもろぎさん。

こてんと可愛らしく首を傾げながら
真顔で聞いてくる。



「…」

「ねぇ、すず。」

「~~~っ、わ、分かんない!」

「むぐっ」



返答を催促するひもろぎさん。


『恋愛対象か』だなんて


予想外の問いかけに
頭がパニックになったあたしは
ちゃぶ台の上に置いてあったチュロスを
ひもろぎさんの口の中に突っ込んだ。





……同年代の、異性との触れ合いに慣れてない。

距離の近さに戸惑っている。

触れられると、優しくされると、困惑する。



それは単に『慣れてない』からなのか。

ひもろぎさんの
近すぎる『距離感』のせいなのか。



それとも……



あたしが、ひもろぎさんを
『恋愛対象』として見ているからなのか。


『そういう意味』で意識しているからなのか。



……そんなの、聞かれても分からない。



ただ、分かるのは
あの姿のひもろぎさんの前では
冷静でいられないってこと。