きみはあたしのライラック

無自覚の甘い声に微笑みに
羞恥の限界を迎えたあたしは叫ぶ。



「ひもろぎさん!!今日はおしまい!戻って!」

「まだ、数分しか経ってな…」

「いいから!戻って!」

「始めたばっかりなのに……」



ぶつぶつ文句を言いながらも
言われた通り、いつもの姿に戻るひもろぎさん。


不満げな表情を浮かべているひもろぎさんに
あたしは、まだ熱の残る顔で、厳しく言い聞かせる。



「…ひもろぎさん。」

「なんだい?」

「軽々しく、ああいうことしちゃだめ。」

「?」

「可愛いも禁止。」

「どうして?可愛いものを可愛いって言うことの何がだめなの?」

「年頃の男女の関係は複雑なの!」

「……言わんとすることは、分かるけど…」



ひもろぎさんは理解は示しつつも、納得はしていない様子だ。

自分の感情を素直に表現しているだけなのに
どうして、そこまで過剰に反応されるのかと
疑問符を浮かべている。



「…」



少し何かを考えるような素振りを見せて



それから




「……ねぇ、すず。」

「何?」

「あの姿の僕は、すずの恋愛対象になるの?」




実にあっさりと、あたしに爆弾を投げつけきた。