きみはあたしのライラック

――……




「無理無理無理……」

「無理じゃないよ。はい、こっち見て。」

「ひ、ひもろぎさん、近いよ……離して……」

「だって、すず、捕まえておかないと
逃げるんだもの。」



あたしの腕をしっかり掴んで
離さないひもろぎさん。

座り込んだまま
迫り来る、その顔面から顔を背ける。



「に、逃げない…逃げないから……離して…」

「約束だよ?」



釘をさすひもろぎさんに、こくこくと頷く。



「…」

「目、逸らしちゃだめ。」

「っ」



そろりと視線を向けるも
その顔面の破壊力に負け、すぐに目を逸らす。

そんなあたしの頬を優しく掴んで
ひもろぎさんは、目線を合わせる。

再び交わった視線に
あたしの顔は瞬く間に熱くなる。



「……真っ赤。」

「………だから、嫌なの。」



勝手に意識して、勝手に顔が赤くなる。

そんな姿を見られることが恥ずかしくて
余計に顔が熱くなる。


困ったように、小さく呟けば
ひもろぎさんは、柔らかく表情を崩す。



「なんで?可愛いのに。」

「か、可愛くない…っ」

「可愛いよ。」



一度、離れた手が、再びあたしの顔に触れる。



「触れたくなるくらい、可愛い。」

「~~~っ!!」