きみはあたしのライラック

「……不思議な感じ。」

「そう?まぁ、僕も、制服なんて初めてだけど。」

「男の子って感じがする。」

「あはは。僕はもとから男だよ。」

「そうなんだけど、いつもの姿が
すごく、かわいらしいから。」



愛らしさは残っているけど
その顔付きや体型、声は、確実に
『男性』と表現するにふさわしい形に近付いていた。

『少年』から『青年』への成長過程
そんな、ひもろぎさんの姿を目の当たりにして
あたしは、不思議な感覚を抱く。



「そうかな?すずの方が可愛いと思うけど。」

「……お世辞はいいよ。」

「お世辞じゃないよ。特に、すずの笑った顔
可愛くて僕は好きだよ。」



なんてことなく、あまりにスマートに
褒め言葉を向けてくるものだから

異性に褒められ慣れてないあたしは
その言葉に、かぁっと、顔が熱くなる。



「照れた顔も可愛い。」



そんなあたしの頬に触れながら
畳み掛けるかのように言葉を重ねて
ひもろぎさんは、優しく微笑む。