きみはあたしのライラック

あたしと同じ学校の制服を身に纏っている
その男の子は、優しい笑顔を浮かべて、あたしを見返した。



「どうかな?」



自分の着ている制服を見下ろしながら
親しげにあたしに話しかけてくる、その男の子。


物腰柔らかな態度、優しい顔、声、話し方…


さっきまで、目の前にいた
幼い男の子の面影を残す、その相手。



「………ひもろぎさん?」

「うん。」

「……びっくりした。姿、変えられるんだ。」

「普段はあの姿だけど、夢の中だからね。
やろうと思えば、姿形も好きなように変えられるよ。」



成長したひもろぎさんは
少し低くなった声で答えて
面食らっていたあたしに、にこっと笑いかける。



「すずと同じくらいの時の
僕の姿になってると思うんだけど、変じゃないかな?」

「うん。変じゃないよ。」



……。
…………変では、ないんだけど…



じっと、その姿を凝視する。