きみはあたしのライラック

「すずはお母さんみたいだね。」

「うっ…。し、しつこかったら、ごめん…
でも、心配なんだもん…」



あたしと同じように
今現在、両親との関係に問題を抱えている佐奈。


家庭内不和が続いたことで
お母さんは実家に戻っていて
お父さんは家には、ほとんど帰ってこず

実質、ひとり暮らしの状況。

帰る場所に、その家の中に頼れる人がいない。


栄養不足、体調不良で倒れたとしても
誰にも気付いてもらえない可能性だってある。


だから、そんな最悪な状況にならないよう
まずは、佐奈には健康的な食生活をと思った。



……食べなきゃ、体も心も弱くなる一方だから。



声を落とすあたしに
佐奈は口許を緩めて、首を横に振る。



「ううん。ありがとう。嬉しい。」

「…やりすぎだったら言ってね。
………止める気はないけど。」

「すずの、そういう意外に頑固なとこ好きだよ。」



ぼそりと付け足したあたしの言葉に
佐奈は、くすくすとおかしそうに失笑した。