きみはあたしのライラック

「佐奈。今日、夜ご飯食べていかない?
今日ね、ちょっと頑張ったんだ。」

「いいの?この前もごちそうになったのに…」



ひと休み中に夕食のお誘いをすれば
佐奈は遠慮がちに、あたしに声を返す。



「全然。嫌じゃなければ。」

「嫌じゃないよ。すずの料理おいしいから。
おいし過ぎて、この前も食べすぎちゃったし。」

「佐奈、細すぎるから
もっと食べて、お肉つけないと。」

「これでも太ったんだよ。」



真面目な顔で、小言を言うあたしに
痩せている自覚のある佐奈は苦笑いを浮かべる。


最近のあたしの目標のひとつ
がりがりの佐奈を太らせること。


距離が近付いたのをいいことに

ずっと、佐奈の健康状態や
食生活が心配だったあたしは

度々、佐奈にお弁当やら
おかずやらを押し付けて、お節介を焼いていた。


最近は、それが功を奏したのか
顔色も良いし、体つきも心なしかふっくらしてきた。


とはいえ、まだまだ体の線が細い佐奈。


あたしは、そんな佐奈を健康的な体にさせるべく
奮闘していた。