「――すず。」
「…」
響いた柔らかい声が、頭の中の喧騒を静めた。
「すず。」
「…………ひも、ろぎさ……」
呼びかけに、そっと顔をあげれば
目の前には、落ち着いた表情で
あたしを見つめるひもろぎさんがいて
いつの間にか、景色も
あたしのトラウマの巣窟である1年3組の教室から
いつもの見慣れた、青空の空間へ変わっていた。
緊張が溶け、ほっと、心が緩むものの
さっきまでの恐怖は、まだ尾を引いていて
それを訴えるように、瞳からは涙があふれ続ける。
「大丈夫だから。泣かないで。」
波打つ心をなだめるような、優しい声。
伸びてきた小さな手が
一生懸命、あたしの涙を拭う。
拭ったはしから、また、すぐに
涙は上書きされるのに
それでも、何度も、何度も
優しく、優しく、それを繰り返す。
「……っ」
すがりつくものを見つけたあたしは
目の前のその相手に、抱きついた。
自分よりも、ずっと、ずっと小さな身体。
だけど、中身は
あたしより、ずっと、ずっと大きな相手。
「…」
驚きも、動揺もなく
そのまま、あたしを受け入れてくれる。
震える身体を、抱き締めて
「大丈夫だよ。」と、囁いてくれる。
包み込むような優しさの中で
あたしは、長い時間、泣き続けた。
「…」
響いた柔らかい声が、頭の中の喧騒を静めた。
「すず。」
「…………ひも、ろぎさ……」
呼びかけに、そっと顔をあげれば
目の前には、落ち着いた表情で
あたしを見つめるひもろぎさんがいて
いつの間にか、景色も
あたしのトラウマの巣窟である1年3組の教室から
いつもの見慣れた、青空の空間へ変わっていた。
緊張が溶け、ほっと、心が緩むものの
さっきまでの恐怖は、まだ尾を引いていて
それを訴えるように、瞳からは涙があふれ続ける。
「大丈夫だから。泣かないで。」
波打つ心をなだめるような、優しい声。
伸びてきた小さな手が
一生懸命、あたしの涙を拭う。
拭ったはしから、また、すぐに
涙は上書きされるのに
それでも、何度も、何度も
優しく、優しく、それを繰り返す。
「……っ」
すがりつくものを見つけたあたしは
目の前のその相手に、抱きついた。
自分よりも、ずっと、ずっと小さな身体。
だけど、中身は
あたしより、ずっと、ずっと大きな相手。
「…」
驚きも、動揺もなく
そのまま、あたしを受け入れてくれる。
震える身体を、抱き締めて
「大丈夫だよ。」と、囁いてくれる。
包み込むような優しさの中で
あたしは、長い時間、泣き続けた。


