書き終えたそれを、あの子に渡せば
受け取ったあの子は
不思議そうに渡したメモに目線を落とす。
「……そっちだと
近いけど入り組んでて大変だから
少し遠くなるけど
この道から行くと分かりやすい……です。」
震える声で、なんとか言葉を絞り出した後…
……っ、だめだ……もう無理っ!!
緊張と、恐怖、恥ずかしさが限界に達したあたしは
そのまま
あの子の返事も待たずに
逃げるようにその場を後にした。
――…
「…」
扉を閉めた後、そこにもたれ掛かりながら
ずるずると、そのまま床に座り込む。
どくどくどくと、耳に響くくらいに心拍数が上がってる。
生まれたての小鹿のように、震えている手足を見下ろして、あたしは苦笑いを浮かべる。
……情けないなぁ。
………でも…
「……ちゃんと、声出せた。……話せた。」
口から、こぼれた言葉は震えつつも
達成感と喜びに満ちていた。
おどおどした態度、弱々しく震える声。
見るに耐えないようなものだったとしても
ちゃんと、行動できた。
大きな一歩を踏み出せた。
その事実に、あたしの心は明るくなる。
「……ひもろぎさんに、話したいな。」
喜びを噛み締めるあたしの脳内に浮かんだのは
ひとりの幼い男の子の姿。
きっと、誰よりも
あたしよりも、喜んでくれる姿が想像できて
頭に浮かぶ、その姿に、その声に
あたしの表情は自然と緩んだ。
受け取ったあの子は
不思議そうに渡したメモに目線を落とす。
「……そっちだと
近いけど入り組んでて大変だから
少し遠くなるけど
この道から行くと分かりやすい……です。」
震える声で、なんとか言葉を絞り出した後…
……っ、だめだ……もう無理っ!!
緊張と、恐怖、恥ずかしさが限界に達したあたしは
そのまま
あの子の返事も待たずに
逃げるようにその場を後にした。
――…
「…」
扉を閉めた後、そこにもたれ掛かりながら
ずるずると、そのまま床に座り込む。
どくどくどくと、耳に響くくらいに心拍数が上がってる。
生まれたての小鹿のように、震えている手足を見下ろして、あたしは苦笑いを浮かべる。
……情けないなぁ。
………でも…
「……ちゃんと、声出せた。……話せた。」
口から、こぼれた言葉は震えつつも
達成感と喜びに満ちていた。
おどおどした態度、弱々しく震える声。
見るに耐えないようなものだったとしても
ちゃんと、行動できた。
大きな一歩を踏み出せた。
その事実に、あたしの心は明るくなる。
「……ひもろぎさんに、話したいな。」
喜びを噛み締めるあたしの脳内に浮かんだのは
ひとりの幼い男の子の姿。
きっと、誰よりも
あたしよりも、喜んでくれる姿が想像できて
頭に浮かぶ、その姿に、その声に
あたしの表情は自然と緩んだ。


