その後
「…ん?」
部屋の掃除をしていると
お店の方から、慌てたような足音が聞こえて
あたしは立ち上がり
誰か来たらすぐ分かるようにと
少し開けていた扉から、店の中の様子を窺う。
……あれ?
そこには、少し前に配達に出たはずのあの子がいて
なにやら、困り顔で
カウンターの上で、地図とにらめっこしていた。
……どうしたんだろう。
道、分からなくなったのかな?
しばらくそのまま、様子を見ていたけど
あたしに全然気づかないくらいに集中して
地図と格闘を続けているあの子。
「…」
躊躇(ちゅうちょ)したものの
何かトラブルがあって、困っているのは明白。
……。
緊張と恐怖から、心臓の鼓動が早まり
握った手のひらが、じんわりと汗ばむ。
でも
あたしは、扉越しに勇気を出して声をかけた。
「…あ、あの…」
「…」
「あの…」
「…」
声量が小さかったのか
はたまたあの子が、かなり集中していたからか
呼び掛けても、あの子は地図を見つめたままで
なんの反応も返ってこない。
……も、もう少し大きな声で…っ
頑張れっ、あたし…!
めげそうになりながらも、自分を鼓舞(こぶ)し
なけなしの勇気を振り絞って、声を張り上げる。
「あの…っ」
「…」
ようやく、呼び声に気付いてくれたあの子は
顔をあげて、じっと、あたしを見つめる。
真っ直ぐな目で、無言で見つめられ
たじろぎながらも、あたしは扉から身を出して、店のカウンターへ向かう。
カウンターの机の上に広げられた地図と
おばあちゃんが使っている仕事用の手帳
手元の紙に、あの子がメモしていた配達ルートが目に留まる。
そこから得られる情報から
おおよその状況を把握したあたしは、置いてあるメモ帳にペンを走らせた。
「…ん?」
部屋の掃除をしていると
お店の方から、慌てたような足音が聞こえて
あたしは立ち上がり
誰か来たらすぐ分かるようにと
少し開けていた扉から、店の中の様子を窺う。
……あれ?
そこには、少し前に配達に出たはずのあの子がいて
なにやら、困り顔で
カウンターの上で、地図とにらめっこしていた。
……どうしたんだろう。
道、分からなくなったのかな?
しばらくそのまま、様子を見ていたけど
あたしに全然気づかないくらいに集中して
地図と格闘を続けているあの子。
「…」
躊躇(ちゅうちょ)したものの
何かトラブルがあって、困っているのは明白。
……。
緊張と恐怖から、心臓の鼓動が早まり
握った手のひらが、じんわりと汗ばむ。
でも
あたしは、扉越しに勇気を出して声をかけた。
「…あ、あの…」
「…」
「あの…」
「…」
声量が小さかったのか
はたまたあの子が、かなり集中していたからか
呼び掛けても、あの子は地図を見つめたままで
なんの反応も返ってこない。
……も、もう少し大きな声で…っ
頑張れっ、あたし…!
めげそうになりながらも、自分を鼓舞(こぶ)し
なけなしの勇気を振り絞って、声を張り上げる。
「あの…っ」
「…」
ようやく、呼び声に気付いてくれたあの子は
顔をあげて、じっと、あたしを見つめる。
真っ直ぐな目で、無言で見つめられ
たじろぎながらも、あたしは扉から身を出して、店のカウンターへ向かう。
カウンターの机の上に広げられた地図と
おばあちゃんが使っている仕事用の手帳
手元の紙に、あの子がメモしていた配達ルートが目に留まる。
そこから得られる情報から
おおよその状況を把握したあたしは、置いてあるメモ帳にペンを走らせた。


