きみはあたしのライラック

「……そんな所で、うずくまってどうしたの?」




耳を塞いでいても
するりと入ってきた幼い声。


突然響いたその声に
びくりと身体を震わせた。


おそるおそる顔を上げ
声がした方へ、にじむ目を向ければ


そこにいたのは
年端もいかない男の子だった。


中腰になって、あたしを見下ろすその顔は
声から想像した通り、あどけない。



「大丈夫?」

「……」



自分よりも小さな子供だ。
心配するような言葉をかけてもくれた。


にも、関わらず
あたしは怯えていた。


今日は、とうとう
見ず知らずの相手からも、非難される夢なのかと。



抱えたひざの上に再び顔を埋める。