きみはあたしのライラック

「…」



頭の中に浮かぶのは
いつも、どんな時でも優しく笑って
あたしを見る、ひだまりのような人。


小さな頃から変わらず


どんな状況でも、見捨てずに傍にいてくれる


ちゃんと、あたしの声に耳を傾けてくれる


解ってくれる



暗闇の中にいるあたしの足元を
照らし続けてくれる人。



沈黙の意味を、正しく受け取ったひもろぎさんは
真剣な顔のまま、そっと、あたしの手を取った。



「忘れないで。
確かに、自分の声や、気持ちが他人に届かないことはある。自分自身を否定されることも。」


「だけど、必ず解ってくれる相手はいる。」


「例え、今いなかったとしても
この先の未来できみを待っている。」


「きみと出会うべくして、出会う人がいる。」


「そういう気持ちを味わって
知っているきみだからこそ、同じものを抱えている誰かを救える。そんな誰かに寄り添える。」


「そんな未来がある。」