きみはあたしのライラック

「………「あたし」を否定されるのが…
怖くて、………苦しい。」



自分の存在を否定され


そして


自分と同じように誰かが存在を否定されるのを
なにも出来ずに、ただ眺める。


これから先も
それを繰り返すことになるかもしれない。



……それが、怖い。




人も、言葉も、行動も


目に映るすべてを疑ってしまいそうで


恐怖と猜疑心ばかりが大きくなって




――…怖くて仕方ない。




恐怖心に負け、泣き続けるあたしに
ひもろぎさんは静かに問いかけた。



「否定ばかりだった?」



本当に、そればかりだったのかと
あたしに問いかけた。


あたしが今まで生きてきた人生すべてが
否定で構成されているのかと。



「すずを解ってくれる人は
今までひとりもいなかった?」


「今のきみを、認めてくれる相手は
ひとりもいない?」



ひもろぎさんは
真っ直ぐあたしを見て、聞いてきた。