――…
佐奈が帰った後
あたしはりんさんの様子を見に客間に向かった。
そっと、襖(ふすま)を開ければ
敷布団の上であぐらをかいていたりんさんが
ぼんやりとした目を、こちらに向けた。
「ごめん、りんさん。起こしちゃった?」
「……ううん。さっき、起きたとこ…」
寝ぼけた声で答えると
りんさんは、そばに腰を下ろしたあたしに
もたれ掛かりながら、問いかける。
「佐奈は?」
「帰ったよ。りんさんによろしくって。」
「そう。」
「それでね、明日、佐奈と一緒に
榊さんの所に行くことになったんだけど
りんさんも行かない?」
「……やまつみの所?」
「うん。」
「…………あんまり行きたくない。」
「?どうして?」
「だって、やまつみ、絶対笑うもの。」
それまで眠たそうにしていたりんさんは
榊さんの名前が出た途端
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
「やまつみに佐奈とちゃんと
話をするように促(うなが)しておいて
僕もすずから逃げちゃったんだもの。
……一生ネタにされる。」
……そういえば、榊さん
『口うるさく言っておいて…』とか
そんなこと言ってたような……
あの時は、その意味がよく分からなかったけど
そういうことだったんだ。
「………はぁ。」
そのまま、布団に倒れ込んだりんさんは
過去の自分の言動に
後悔するように、深々とため息をついた。
どうやら、りんさんは
揚げ足を取られるのが嫌で
榊さんと会うことには、消極的な様子。
佐奈が帰った後
あたしはりんさんの様子を見に客間に向かった。
そっと、襖(ふすま)を開ければ
敷布団の上であぐらをかいていたりんさんが
ぼんやりとした目を、こちらに向けた。
「ごめん、りんさん。起こしちゃった?」
「……ううん。さっき、起きたとこ…」
寝ぼけた声で答えると
りんさんは、そばに腰を下ろしたあたしに
もたれ掛かりながら、問いかける。
「佐奈は?」
「帰ったよ。りんさんによろしくって。」
「そう。」
「それでね、明日、佐奈と一緒に
榊さんの所に行くことになったんだけど
りんさんも行かない?」
「……やまつみの所?」
「うん。」
「…………あんまり行きたくない。」
「?どうして?」
「だって、やまつみ、絶対笑うもの。」
それまで眠たそうにしていたりんさんは
榊さんの名前が出た途端
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
「やまつみに佐奈とちゃんと
話をするように促(うなが)しておいて
僕もすずから逃げちゃったんだもの。
……一生ネタにされる。」
……そういえば、榊さん
『口うるさく言っておいて…』とか
そんなこと言ってたような……
あの時は、その意味がよく分からなかったけど
そういうことだったんだ。
「………はぁ。」
そのまま、布団に倒れ込んだりんさんは
過去の自分の言動に
後悔するように、深々とため息をついた。
どうやら、りんさんは
揚げ足を取られるのが嫌で
榊さんと会うことには、消極的な様子。


