きみはあたしのライラック

「うん。でも、約束したから。
最後には、ちゃんと会いに来てくれるって。」



ほんの少しだけ、さみしさをにじませながらも
答える佐奈の表情は穏やかだった。



「それに、視えなくても
『いる』って解るから。だから、大丈夫。」

「…うん。」

「でも、今度
すずと一緒に会いに行ってみようかな。
もしかしたら、視えるようになるかも。」

「そうだね。一緒に行こう。」



その現状を悲観することなく
明るい笑顔を浮かべる佐奈に
あたしも笑って頷く。


いつ、どこで、どうなるかなんて
誰にも分からない。


りんさんの時みたいに
奇跡が起きて


佐奈の目に
榊さんの姿が映る日が来るかもしれない。



そうじゃなかったとしても



会いたい人には、会える内に


その人を想える場所があるなら、行ける内に


一緒に過ごせる今を


その人を想えるこの瞬間を



大切に生きていきたいと、そう思う。