――……
…。
また、逃げるようにやってきた夢の中で
あたしは、無意識にひもろぎさんの姿を探していた。
あの無邪気で明るい笑顔を見たかった。
暗く淀んだこの心を、照らして貰いたかった。
………いた。
真っ白な空間を歩いていたけど
いつの間にか、目の前には
青空を写したような空間が広がっていた。
そして、そこには
いつものように、座布団の上に座っている
ひもろぎさんの姿があった。
声をかけようとしたけど
それより早く、ひもろぎさんが口を開いた。
「――変わりたい?」
ひもろぎさんは、まっすぐに前を見て声を放つ。
だけど、その視線の先には誰もいない。
けど、まるで
そこに誰かがいるかのように
ひもろぎさんは言葉を続ける。
優しく、手を差し伸べるように。
「――…なら、きみが変わるための手助けをしてあげるよ。」
…
「うん。きみがそれを望むなら。」
…
……。
………邪魔しちゃ悪いし、離れてよう。
そう思ったところで、ひもろぎさんがあたしに気付いて、笑顔を向けた。
「こんばんは。すず。」
「…こんばんは。」
ひもろぎさんは立ち上がって
あたしの所へやってくる。
「今日は何を作ってくれる?」
「えと、今日は…ティラミスを……
じゃなくて…いいの?誰かいるんじゃ…?」
「ああ。もういないから大丈夫。
目が覚めちゃったみたい。」
「あたしみたいな人がいたの?」
「うん。すずには見えなかったとは思うけど。」
「うん。」
「……本当は、あんまり干渉しちゃだめなんだけど。ずっと、泣いてたから。」
「……相手の人が?」
「そう。恩がある人の血縁なんだ。
だから、余計に、放っておけない。」
ひもろぎさんは笑顔を浮かべていたけど
その声は、心の底から、その人を案じていた。
「すずも。」
「………え?」
「何かあった?」
「…」
優しくあたしを見上げるひもろぎさん。
『きみのことも放っておけない。』と目で語る。
…。
また、逃げるようにやってきた夢の中で
あたしは、無意識にひもろぎさんの姿を探していた。
あの無邪気で明るい笑顔を見たかった。
暗く淀んだこの心を、照らして貰いたかった。
………いた。
真っ白な空間を歩いていたけど
いつの間にか、目の前には
青空を写したような空間が広がっていた。
そして、そこには
いつものように、座布団の上に座っている
ひもろぎさんの姿があった。
声をかけようとしたけど
それより早く、ひもろぎさんが口を開いた。
「――変わりたい?」
ひもろぎさんは、まっすぐに前を見て声を放つ。
だけど、その視線の先には誰もいない。
けど、まるで
そこに誰かがいるかのように
ひもろぎさんは言葉を続ける。
優しく、手を差し伸べるように。
「――…なら、きみが変わるための手助けをしてあげるよ。」
…
「うん。きみがそれを望むなら。」
…
……。
………邪魔しちゃ悪いし、離れてよう。
そう思ったところで、ひもろぎさんがあたしに気付いて、笑顔を向けた。
「こんばんは。すず。」
「…こんばんは。」
ひもろぎさんは立ち上がって
あたしの所へやってくる。
「今日は何を作ってくれる?」
「えと、今日は…ティラミスを……
じゃなくて…いいの?誰かいるんじゃ…?」
「ああ。もういないから大丈夫。
目が覚めちゃったみたい。」
「あたしみたいな人がいたの?」
「うん。すずには見えなかったとは思うけど。」
「うん。」
「……本当は、あんまり干渉しちゃだめなんだけど。ずっと、泣いてたから。」
「……相手の人が?」
「そう。恩がある人の血縁なんだ。
だから、余計に、放っておけない。」
ひもろぎさんは笑顔を浮かべていたけど
その声は、心の底から、その人を案じていた。
「すずも。」
「………え?」
「何かあった?」
「…」
優しくあたしを見上げるひもろぎさん。
『きみのことも放っておけない。』と目で語る。


