すずがこの町を後にして
しばらく経った日の出来事だった。
「はい。」
「……これは?」
みなかみさまに不意に手渡された一枚の書類。
それを受け取って、僕は首を傾げた。
「きみの戸籍。」
「………………え?」
こともなげに、とんでもない発言をする
みなかみさまに、僕は呆けた声を返した。
唖然とする僕に、みなかみさまは
さらに驚くようなことを言う。
「後、きみの血縁が営む旅館の近くにある
空き家を買い取ったから、そこを新居にするといい。」
「…」
開いた口が塞がらないとは、まさにこの事。
あまりの衝撃に、一瞬、思考が停止した。
「………ちょ、ちょっと……みなかみさま?
これ、どうやって…」
なんとか喉から絞り出した声も、動揺で上擦る。
そんな僕を見て、みなかみさまは
どことなく楽しげな笑顔を浮かべてる。
「忘れたの?りん。僕はこの地の神だよ。
古くから名の知れた、とても力のある神様だ。」
「だからって…こんな…」
「僕からのプレゼントだよ。
あの場所で、きみが人として生きるのに
必要なもの。」
「……みなかみさま。」
「あの場所が嫌だと言うのなら
好きな場所へ行ったっていい。
きみは、もう自由なんだから。」
しばらく経った日の出来事だった。
「はい。」
「……これは?」
みなかみさまに不意に手渡された一枚の書類。
それを受け取って、僕は首を傾げた。
「きみの戸籍。」
「………………え?」
こともなげに、とんでもない発言をする
みなかみさまに、僕は呆けた声を返した。
唖然とする僕に、みなかみさまは
さらに驚くようなことを言う。
「後、きみの血縁が営む旅館の近くにある
空き家を買い取ったから、そこを新居にするといい。」
「…」
開いた口が塞がらないとは、まさにこの事。
あまりの衝撃に、一瞬、思考が停止した。
「………ちょ、ちょっと……みなかみさま?
これ、どうやって…」
なんとか喉から絞り出した声も、動揺で上擦る。
そんな僕を見て、みなかみさまは
どことなく楽しげな笑顔を浮かべてる。
「忘れたの?りん。僕はこの地の神だよ。
古くから名の知れた、とても力のある神様だ。」
「だからって…こんな…」
「僕からのプレゼントだよ。
あの場所で、きみが人として生きるのに
必要なもの。」
「……みなかみさま。」
「あの場所が嫌だと言うのなら
好きな場所へ行ったっていい。
きみは、もう自由なんだから。」


