「りんさん?」
「……みなかみさま。」
すずの呼びかけで我に返った僕は
みなかみさまに顔を向ける。
僕の様子を見て、ただ事じゃないと
悟ったみなかみさまは
すぐに僕のもとへとやってきて
僕の視線の先にあるものを見つめる。
「………驚いた。」
「?あ、あの…りんさん、みなかみさま?
いったいどうしたの?」
このありえない現状を把握しているのは
当事者である僕と、みなかみさまだけ。
置いてけぼりを食らっていたすずに
呆然とする僕の代わりに
みなかみさまが説明してくれた。
「りんの中にあった力がなくなってる。」
「え?」
「普段なら、その程度の傷は
もうとっくに塞がっているんだ。」
なのに、今も傷は残ったまま。
手のひらに、鈍く、小さく
残り続ける傷は、痛みの感覚は
もう、ずっとずっと昔に
失くしたはずだったもの。
「…」
宝石のように美しい蒼色の瞳で
探るように、僕の身体をじっと見つめた後
みなかみさまは、再び、驚きの声をあげる。
「止まっていた身体の時間も、動き出している。」
「……それって……」
みなかみさまの言葉を聞いた
すずの瞳に、微かな希望と期待が宿る。
驚きを残しながらも
言葉を繋ぐみなかみさまの声は明るい。
「そう。
りんは永遠に等しい時間から解放されたんだ。
人としての時間を、取り戻したんだよ。」
期待通りの返答に
弾かれたように、僕に顔を向けるすず。
「りんさん…っ」
「…」
「……みなかみさま。」
すずの呼びかけで我に返った僕は
みなかみさまに顔を向ける。
僕の様子を見て、ただ事じゃないと
悟ったみなかみさまは
すぐに僕のもとへとやってきて
僕の視線の先にあるものを見つめる。
「………驚いた。」
「?あ、あの…りんさん、みなかみさま?
いったいどうしたの?」
このありえない現状を把握しているのは
当事者である僕と、みなかみさまだけ。
置いてけぼりを食らっていたすずに
呆然とする僕の代わりに
みなかみさまが説明してくれた。
「りんの中にあった力がなくなってる。」
「え?」
「普段なら、その程度の傷は
もうとっくに塞がっているんだ。」
なのに、今も傷は残ったまま。
手のひらに、鈍く、小さく
残り続ける傷は、痛みの感覚は
もう、ずっとずっと昔に
失くしたはずだったもの。
「…」
宝石のように美しい蒼色の瞳で
探るように、僕の身体をじっと見つめた後
みなかみさまは、再び、驚きの声をあげる。
「止まっていた身体の時間も、動き出している。」
「……それって……」
みなかみさまの言葉を聞いた
すずの瞳に、微かな希望と期待が宿る。
驚きを残しながらも
言葉を繋ぐみなかみさまの声は明るい。
「そう。
りんは永遠に等しい時間から解放されたんだ。
人としての時間を、取り戻したんだよ。」
期待通りの返答に
弾かれたように、僕に顔を向けるすず。
「りんさん…っ」
「…」


