きみはあたしのライラック

――…




目覚めた瞬間



「…」



目の前の光景に、固まった。



「………ひ…」



……ひもろぎさん。



隣で、寄り添うように眠っていたその人に
寝起きに見るには、破壊力の強いその顔面に
悲鳴を上げそうになった。


なんとかこらえて


とりあえず
ベッドから起き上がろうとしたけど…



「……あ、あれ…っ」



腰回りをがっしりとホールドされて
上半身しか起こせなかった。



「ひ、ひもろぎさん…?」

「…」

「……寝てる。」



てっきり、目が覚めたのかと思ったけど
ひもろぎさんはまだ、夢の中。

まるで、抱き枕を抱き締めるように
あたしを掴んで離さない。



「…」



どうしたものかと、悩んでいると…



「本当にりんはマイペースだなぁ。」

「!み、みなかみさま…」

「おはよう。すず。よく眠れた?」

「は、はい…」



昨日のように、いきなり
目の前に現れたみなかみさまに
口から心臓が飛び出しそうになった。