――…
気付けばあたしは
いつもの真っ白な空間に立っていた。
「…」
そっと足を踏み出せば
まるで水面に絵の具を落としたかのように
そこから、綺麗な青が
波紋を浮かべながら広がっていって
真っ白だった景色を
瞬く間に青く染め上げていく。
「すず。」
そんな光景を目の当たりにして
茫然と立ち尽くしていたあたしを呼ぶ、幼い声。
それは、あたしが
ずっと、ずっと、聞きたかった声だ。
「…」
ゆっくりと振り返れば
少し離れたところから
申し訳なさそうな、気恥ずかしそうな
控えめな笑顔を浮かべて
こちらを見つめる幼い男の子がいた。
「…」
言葉が、出てこない。
本当に久しぶりに見る
その姿に涙腺が緩んでしまって。
「わ…っ」
駆け出し、衝動のまま抱きつく。
勢いがありすぎで
夢の中の幼いひもろぎさんでは
あたしの体を受け止めきれず
そのまま一緒に地面に倒れ込む。
「…」
「…すず。」
「………っ、う…」
「……ごめん。ごめんね。泣かないで。」
びっくりして固まっていた
ひもろぎさんだったけど
ぼろぼろ涙をこぼすあたしに気付くと
何度も「ごめんね」と「泣かないで」を繰り返す。
だけど、涙は止められなくて
「…ひもろぎさん。」
「うん?」
「ひもろぎさん。」
「うん。」
「……ずっと、会いたかった。」
「………うん。僕も。」
「ずっと、すずに会いたかった。」
気付けばあたしは
いつもの真っ白な空間に立っていた。
「…」
そっと足を踏み出せば
まるで水面に絵の具を落としたかのように
そこから、綺麗な青が
波紋を浮かべながら広がっていって
真っ白だった景色を
瞬く間に青く染め上げていく。
「すず。」
そんな光景を目の当たりにして
茫然と立ち尽くしていたあたしを呼ぶ、幼い声。
それは、あたしが
ずっと、ずっと、聞きたかった声だ。
「…」
ゆっくりと振り返れば
少し離れたところから
申し訳なさそうな、気恥ずかしそうな
控えめな笑顔を浮かべて
こちらを見つめる幼い男の子がいた。
「…」
言葉が、出てこない。
本当に久しぶりに見る
その姿に涙腺が緩んでしまって。
「わ…っ」
駆け出し、衝動のまま抱きつく。
勢いがありすぎで
夢の中の幼いひもろぎさんでは
あたしの体を受け止めきれず
そのまま一緒に地面に倒れ込む。
「…」
「…すず。」
「………っ、う…」
「……ごめん。ごめんね。泣かないで。」
びっくりして固まっていた
ひもろぎさんだったけど
ぼろぼろ涙をこぼすあたしに気付くと
何度も「ごめんね」と「泣かないで」を繰り返す。
だけど、涙は止められなくて
「…ひもろぎさん。」
「うん?」
「ひもろぎさん。」
「うん。」
「……ずっと、会いたかった。」
「………うん。僕も。」
「ずっと、すずに会いたかった。」


