きみはあたしのライラック

――……



ひもろぎさんと過ごす時間に救われている。



でも、現実は変わらない。



「…」



目覚めれば
あたしは、また『それ』に押し潰される。





「お義母さん、いい加減
すずを甘やかすのは止めてください。」

「甘やかしてなんかいないよ。」

「なら、学校に行くよう言い聞かせてください。
いつまでも、登校拒否なんて……みっともない。」

「本人が嫌な事を無理矢理させたって仕方がないだろう?あの子の人生だ。私達のものじゃないんだから。」

「だからって―…」




階段の下から聞こえてきた会話。

あたしは、くるりときびすを返し
また、自分の部屋に戻って、布団の中にもぐり込む。



………みっともない、か…



相変わらず、あの人達の口から出てくる言葉は鋭い刃物のようだ。

向けられたあたしの心を、ズタズタに切り裂く。



……あたしの話を
ちゃんと、聞いてもくれなかったくせに…



心の底から湧き上がってくる嫌悪感と怒り
ほんの少しの悲しみに、あたしは顔を歪ませた。