「…よいしょっと。」
そびえ立つ大きな樹木に、落ち葉の絨毯
苔むした大中小様々な石。
似たような景色が、ずっと続いているから
帰り道が分からなくなってしまわないように
途中途中、木に目印をつけながら奥へと進む。
『きっと、明日は見つかるよ!』
道なき道を歩き続けながら
昨日のななちゃんの言葉を思い出して、口許を緩める。
何の根拠もない言葉。
それでも、あの明るい笑顔が
あたしの心を奮(ふる)い立たせてくれる。
……頑張ろう。
「…に、しても、このあたりは足場悪いな。
気をつけて歩かなきゃ…」
昨夜から朝方にあけて
ずっと雨が降っていたから
地面はしっとりと湿って、ぬかるんでいる。
かなり滑りやすくなっているから
転んでしまわないように
注意しながら、ゆっくりと歩く。
――ちりん
「…ん?」
ちりりん
「…この音。」
どこからか、ふと
耳に入ってきた、その音に足を止める。
ちりん、ちりん
……昨日、庭園で聞いたのと同じ、鈴の音。
ちりん、ちりりん
「……あっちから、聞こえる。」
まるで、『こっちだよ』と言わんばかりに
何度も繰り返し、鳴り響く。
「…」
吸い寄せられるように
あたしの体は、音の聞こえる方へ向かっていた。
そびえ立つ大きな樹木に、落ち葉の絨毯
苔むした大中小様々な石。
似たような景色が、ずっと続いているから
帰り道が分からなくなってしまわないように
途中途中、木に目印をつけながら奥へと進む。
『きっと、明日は見つかるよ!』
道なき道を歩き続けながら
昨日のななちゃんの言葉を思い出して、口許を緩める。
何の根拠もない言葉。
それでも、あの明るい笑顔が
あたしの心を奮(ふる)い立たせてくれる。
……頑張ろう。
「…に、しても、このあたりは足場悪いな。
気をつけて歩かなきゃ…」
昨夜から朝方にあけて
ずっと雨が降っていたから
地面はしっとりと湿って、ぬかるんでいる。
かなり滑りやすくなっているから
転んでしまわないように
注意しながら、ゆっくりと歩く。
――ちりん
「…ん?」
ちりりん
「…この音。」
どこからか、ふと
耳に入ってきた、その音に足を止める。
ちりん、ちりん
……昨日、庭園で聞いたのと同じ、鈴の音。
ちりん、ちりりん
「……あっちから、聞こえる。」
まるで、『こっちだよ』と言わんばかりに
何度も繰り返し、鳴り響く。
「…」
吸い寄せられるように
あたしの体は、音の聞こえる方へ向かっていた。


