――……
懐中電灯片手に先導していたななちゃんが
足を止め、振り返った。
「ここだよ。」
立派な庭園の片隅に、ひっそりと
それはあった。
石造りの小さな祠。
「ほら、お願いしよう!」
「う、うん…」
ななちゃんは、祠の前にしゃがみこみ
ぱちんと両手を合わせる。
「オカミ様、お姉ちゃんが困ってるの。
助けてあげて。」
……ななちゃん。
真剣な顔で祠に向かって語りかけるななちゃん。
落ち込むあたしのために
一生懸命考えて、ここまで連れてきてくれた。
その優しさと、健気な姿に胸がじんと熱くなる。
「…」
同じように、しゃがみこみ
あたしも静かに手を合わせる。
ななちゃんに習って
あたしも、あの山のどこかにいる
その神様に向けて、願いを放つ。
(……ひもろぎさんと会えるように
手助けしてください。)
あなたがずっと見守ってきた
あの人に、会えるように。
どうか、よろしくお願いします。
――ちりりん。
「…」
閉ざされた視界の中
耳に入ったのは、澄んだ鈴の音。
「?」と思い、閉じていた目を開く。
「どうしたの?お姉ちゃん。」
「今…どこからか…」
周囲をきょろきょろと見渡すあたしに
気づいた ななちゃんは不思議そうに首を傾げる。
「……ううん。何でもない。」
立ち上がって、あたしは
ななちゃんに手を差し出す。
「ありがとう。ななちゃん。
寒いから、早く中に戻ろう。」
「うん。早くクリームパン食べよう!」
満足そうに笑って
あたしの手を取るななちゃん。
笑い返してから、もう一度、祠に視線を送る。
ななちゃんがくれた小さな優しさ。
その優しさと、あたしの想いが
届くようにと願いながら
あたしは、ななちゃんと一緒に
その場を後にした。
懐中電灯片手に先導していたななちゃんが
足を止め、振り返った。
「ここだよ。」
立派な庭園の片隅に、ひっそりと
それはあった。
石造りの小さな祠。
「ほら、お願いしよう!」
「う、うん…」
ななちゃんは、祠の前にしゃがみこみ
ぱちんと両手を合わせる。
「オカミ様、お姉ちゃんが困ってるの。
助けてあげて。」
……ななちゃん。
真剣な顔で祠に向かって語りかけるななちゃん。
落ち込むあたしのために
一生懸命考えて、ここまで連れてきてくれた。
その優しさと、健気な姿に胸がじんと熱くなる。
「…」
同じように、しゃがみこみ
あたしも静かに手を合わせる。
ななちゃんに習って
あたしも、あの山のどこかにいる
その神様に向けて、願いを放つ。
(……ひもろぎさんと会えるように
手助けしてください。)
あなたがずっと見守ってきた
あの人に、会えるように。
どうか、よろしくお願いします。
――ちりりん。
「…」
閉ざされた視界の中
耳に入ったのは、澄んだ鈴の音。
「?」と思い、閉じていた目を開く。
「どうしたの?お姉ちゃん。」
「今…どこからか…」
周囲をきょろきょろと見渡すあたしに
気づいた ななちゃんは不思議そうに首を傾げる。
「……ううん。何でもない。」
立ち上がって、あたしは
ななちゃんに手を差し出す。
「ありがとう。ななちゃん。
寒いから、早く中に戻ろう。」
「うん。早くクリームパン食べよう!」
満足そうに笑って
あたしの手を取るななちゃん。
笑い返してから、もう一度、祠に視線を送る。
ななちゃんがくれた小さな優しさ。
その優しさと、あたしの想いが
届くようにと願いながら
あたしは、ななちゃんと一緒に
その場を後にした。


