――……
―コンコン
「…」
扉をノックする音で目が覚めた。
机に突っ伏したまま寝てしまっていたあたしは
のそりと起き上がって、部屋のドアを開けた。
「お姉ちゃん。」
「ななちゃん。こんばんは。」
「…お姉ちゃん、寝てた?
なな、起こしちゃった?」
「大丈夫だよ。」
申し訳なさげに
あたしを見上げる ななちゃんに笑顔を返して
部屋の中に招き入れる。
ななちゃんは、大事そうに胸に抱えていた紙袋をあたしに差し出して、にこにこと嬉しそうに笑いながら言う。
「今日はねぇ、クリームパン!」
ななちゃんと『お友達』になってから、早数日。
すっかりあたしに懐いた ななちゃんが
こんな風に、お母さんお手製のおやつを持って
あたしの部屋に遊びにくるのは、今回で3回目。
女将さん…ななちゃんのお母さんは
『ご迷惑おかけして、すみません…』って
ものすごく申し訳なさそうにしてたけど
会う度に、本当に嬉しそうな姿を見せてくれる
ななちゃんに、あたしは元気と癒しを貰っていた。
「おいしそう。さっそく食べようか。」
「うんっ」
「ちょっと待ってね。片付けるから。」
「…。まだ、見つからない?」
机の上に広げたままだった地図。
それを見たななちゃんが、おもむろに口を開いた。
バツ印がたくさんついてる地図を見下ろして
あたしは、苦笑いを浮かべながら答える。
「…うん。」
この6日間、朝から晩まで
ひもろぎさんがいそうな場所を
探しまわったけど、結果はこの通り。
地図にはバツ印が増えていくばかりで
なんの成果も得られなかった。
「本当に、かくれんぼ上手で困っちゃうよ。」
ななちゃんに気を遣わせないように
明るく振る舞うけど
言葉の中に落胆の気持ちがにじんでいたのか
ななちゃんは無言でじっとあたしを見つめる。
そして
何かを考えるかのように
足元に視線を落として
それから
思い付いたように、勢い良く顔をあげる。
―コンコン
「…」
扉をノックする音で目が覚めた。
机に突っ伏したまま寝てしまっていたあたしは
のそりと起き上がって、部屋のドアを開けた。
「お姉ちゃん。」
「ななちゃん。こんばんは。」
「…お姉ちゃん、寝てた?
なな、起こしちゃった?」
「大丈夫だよ。」
申し訳なさげに
あたしを見上げる ななちゃんに笑顔を返して
部屋の中に招き入れる。
ななちゃんは、大事そうに胸に抱えていた紙袋をあたしに差し出して、にこにこと嬉しそうに笑いながら言う。
「今日はねぇ、クリームパン!」
ななちゃんと『お友達』になってから、早数日。
すっかりあたしに懐いた ななちゃんが
こんな風に、お母さんお手製のおやつを持って
あたしの部屋に遊びにくるのは、今回で3回目。
女将さん…ななちゃんのお母さんは
『ご迷惑おかけして、すみません…』って
ものすごく申し訳なさそうにしてたけど
会う度に、本当に嬉しそうな姿を見せてくれる
ななちゃんに、あたしは元気と癒しを貰っていた。
「おいしそう。さっそく食べようか。」
「うんっ」
「ちょっと待ってね。片付けるから。」
「…。まだ、見つからない?」
机の上に広げたままだった地図。
それを見たななちゃんが、おもむろに口を開いた。
バツ印がたくさんついてる地図を見下ろして
あたしは、苦笑いを浮かべながら答える。
「…うん。」
この6日間、朝から晩まで
ひもろぎさんがいそうな場所を
探しまわったけど、結果はこの通り。
地図にはバツ印が増えていくばかりで
なんの成果も得られなかった。
「本当に、かくれんぼ上手で困っちゃうよ。」
ななちゃんに気を遣わせないように
明るく振る舞うけど
言葉の中に落胆の気持ちがにじんでいたのか
ななちゃんは無言でじっとあたしを見つめる。
そして
何かを考えるかのように
足元に視線を落として
それから
思い付いたように、勢い良く顔をあげる。


