きみはあたしのライラック

手に持っていたスマホに、そっと視線を落とす。


暗くなった画面に映る自分の顔は
胸の中で抑えられなくなった
ひもろぎさんへの想いで染まっていた。



……あの人が、恋しいって



叫んでる。




「そうか。」



短く返して
榊さんはあたしの頭を撫でる。


突然のことに、きょとんとしつつも
見上げた榊さんは、変わらず優しく微笑んでいて


なだめるような優しい手つきと穏やかな声に
騒ぎ立っていた心が、ほんの少し、落ち着く。



「なら、伝えてこい。お前の気持ち全部。」



笑顔で優しく後押ししてくれる榊さん。



「…」



そっと目を閉じ、波立つ気持ちを整えて



「――はい。」



しっかりと、榊さんに頷き返した。