会えなくなったなら、仕方ない。諦めよう。
もともと
現実で会うことはない人だったんだから。
いずれ、あたしはひもろぎさんを
置いていく存在なんだから。
いつか必ずくる
お別れの日が早まっただけの話。
だったらもう
ひもろぎさんの事は、忘れて生きよう。
そんな風にあっさり切り捨てられるほど
感情を割り切れるほど
積み重ねた時間は、想いは、軽くない。
――…『さよなら。』
……あんなに、『さみしい』って
声で、表情で、全身で訴えてきたひもろぎさんを
このまま放ってなんておけない。
はっきりと自分の意思を表明すれば
じっと、あたしの言葉に耳を傾けてくれていた
榊さんは、ゆっくりと表情を崩し
柔らかく微笑んで、あたしに言う。
「ひもろぎが好きなんだな。」
優しい眼差しと共に向けられた言葉に
身体がぴくりと反応する。
……。
榊さんの言う「それ」は
あたしが、ずっと
見て見ぬ振りをしてきた感情だ。
名前をつけることを拒んでいた感情。
認めるのが怖かった気持ち。
……だけど
「――…はい。」
しっかりと榊さんの目を見て、頷いた。
……ずっと、認めるのが怖かった。
認めてしまえば
その想いを抑えられなくなりそうで。
迷惑だって
困らせるだけだって解っていたから。
でも、こういう状況になって
とうとう、自分の想いを
無視することが出来なくなった。
ずっと前から、心に芽生えていた想い。
名前をつけずに放置していたその感情が
ここに来て、暴れ出していた。
嫌だって、離れたくないって騒いでる。
執着と未練を手放すことが出来ないのは
それだけ、あたしにとって
ひもろぎさんの存在が大きいから。
特別なんだ。
幼いひもろぎさんも、同年代のひもろぎさんも
どんな、ひもろぎさんも
ひもろぎさんだから、あたしは―…
もともと
現実で会うことはない人だったんだから。
いずれ、あたしはひもろぎさんを
置いていく存在なんだから。
いつか必ずくる
お別れの日が早まっただけの話。
だったらもう
ひもろぎさんの事は、忘れて生きよう。
そんな風にあっさり切り捨てられるほど
感情を割り切れるほど
積み重ねた時間は、想いは、軽くない。
――…『さよなら。』
……あんなに、『さみしい』って
声で、表情で、全身で訴えてきたひもろぎさんを
このまま放ってなんておけない。
はっきりと自分の意思を表明すれば
じっと、あたしの言葉に耳を傾けてくれていた
榊さんは、ゆっくりと表情を崩し
柔らかく微笑んで、あたしに言う。
「ひもろぎが好きなんだな。」
優しい眼差しと共に向けられた言葉に
身体がぴくりと反応する。
……。
榊さんの言う「それ」は
あたしが、ずっと
見て見ぬ振りをしてきた感情だ。
名前をつけることを拒んでいた感情。
認めるのが怖かった気持ち。
……だけど
「――…はい。」
しっかりと榊さんの目を見て、頷いた。
……ずっと、認めるのが怖かった。
認めてしまえば
その想いを抑えられなくなりそうで。
迷惑だって
困らせるだけだって解っていたから。
でも、こういう状況になって
とうとう、自分の想いを
無視することが出来なくなった。
ずっと前から、心に芽生えていた想い。
名前をつけずに放置していたその感情が
ここに来て、暴れ出していた。
嫌だって、離れたくないって騒いでる。
執着と未練を手放すことが出来ないのは
それだけ、あたしにとって
ひもろぎさんの存在が大きいから。
特別なんだ。
幼いひもろぎさんも、同年代のひもろぎさんも
どんな、ひもろぎさんも
ひもろぎさんだから、あたしは―…


