『―――を…』
そんな佐奈を見て、不意に
いつか聞いた声が頭の中に響く。
『佐奈を、よろしく頼む。』
――……。
弾かれたように体が動く。
「佐奈!」
「わ?!な、なにっ?!」
あたしは、がっしりと力強く
佐奈の両肩を掴んで、前のめりに詰め寄る。
いきなり大きな声を出して
詰め寄ったものだから、佐奈の体が一瞬跳ねる。
だけど
そんな佐奈を気遣う余裕があたしにはなかった。
ひもろぎさんに繋がる
手がかりになりそうな相手の姿が頭に浮かんだから。
「お願い!榊さんに会わせてっ!」
「………榊?」
目の色を変えて、必死に縋(すが)るあたしに
佐奈はとても驚いていて
だけど
あたしが口にしたその名前を聞いて
さらに大きく瞳を開く。
「……すず、榊を知ってるの?」
「一回だけ会った事があって
少ししか、話したことはないんだけど…」
「………そっか。」
少し呆けた顔を見せた後
「そっかぁ。」
佐奈はとても嬉しそうに表情を崩して
その気持ちを味わうように言葉を繰り返した。
「……榊に、会いたいの?」
「うん。聞きたいことがあるの。
榊さんだけが、頼りなの。」
変わらず、真剣な眼差しで返せば
佐奈は表情を緩めたまま頷いて、口を開く。
「この近くに
町を一望できる山があるの知ってる?」
「山?……住宅街を抜けた先にある?」
「うん。そこに行ってみて。
……一度、会ったことがあるすずなら
会えると思うから。」
「ありがとう。佐奈。」
「榊に、よろしくね。」
帰ってきたら、一緒にお弁当を食べる約束をして
あたしは佐奈に教えてもらった場所へ向かった。
そんな佐奈を見て、不意に
いつか聞いた声が頭の中に響く。
『佐奈を、よろしく頼む。』
――……。
弾かれたように体が動く。
「佐奈!」
「わ?!な、なにっ?!」
あたしは、がっしりと力強く
佐奈の両肩を掴んで、前のめりに詰め寄る。
いきなり大きな声を出して
詰め寄ったものだから、佐奈の体が一瞬跳ねる。
だけど
そんな佐奈を気遣う余裕があたしにはなかった。
ひもろぎさんに繋がる
手がかりになりそうな相手の姿が頭に浮かんだから。
「お願い!榊さんに会わせてっ!」
「………榊?」
目の色を変えて、必死に縋(すが)るあたしに
佐奈はとても驚いていて
だけど
あたしが口にしたその名前を聞いて
さらに大きく瞳を開く。
「……すず、榊を知ってるの?」
「一回だけ会った事があって
少ししか、話したことはないんだけど…」
「………そっか。」
少し呆けた顔を見せた後
「そっかぁ。」
佐奈はとても嬉しそうに表情を崩して
その気持ちを味わうように言葉を繰り返した。
「……榊に、会いたいの?」
「うん。聞きたいことがあるの。
榊さんだけが、頼りなの。」
変わらず、真剣な眼差しで返せば
佐奈は表情を緩めたまま頷いて、口を開く。
「この近くに
町を一望できる山があるの知ってる?」
「山?……住宅街を抜けた先にある?」
「うん。そこに行ってみて。
……一度、会ったことがあるすずなら
会えると思うから。」
「ありがとう。佐奈。」
「榊に、よろしくね。」
帰ってきたら、一緒にお弁当を食べる約束をして
あたしは佐奈に教えてもらった場所へ向かった。


