きみはあたしのライラック

少し前まで、外が、他人(ひと)が怖いと
泣いてばかりいた。


進まないと、乗り越えないと


そう思うのに
一歩も踏み出すことが出来なくて


何も変わらず、変えられず
一生このまま過ごすのかと絶望していた。


そんな時、ひもろぎさんが現れた。


あたしが抱える、恐怖も不安も悩みも全部
必要なものだと、乗り越えられるものだと
教えてくれた。


無理して変わろうとしなくても
そのままのあたしで十分なんだと


それでも、大丈夫なんだと言ってくれた。


今がどんな状況であろうと
未来は、いくらだって変えることができると
示してくれた。


ずっと隣に、寄り添ってくれた。


そんなひもろぎさんに救われた。





改めて、感謝の言葉を口にすれば
ひもろぎさんは、腕の中で小さく笑う。

控え目だけど、いつもの笑顔だ。

ようやく見ることの出来たその笑顔に
安心していると



「…」



くらりと、目の前がぼやけて揺れる。