春よ、瞬け。


冴くんは中村くんのデスクの椅子に座ると、「月麦、今日もまともに休憩取ってないだろ。」と言った。

「あれ、バレてた?」
「本当に月麦は、前から休憩より仕事優先だもんなぁ。」
「だって、悔しかったから。」

わたしがそう言うと、冴くんは「悔しかった?」と首を傾げた。

「まぁ、名前は伏せるけど、、、ある人たちが冴くんはわたしだけに"甘い"って言ってるのを聞いちゃって、、、悔しくてさ。こっちは頑張って仕事してるのに、、、。だから、仕事で見返そうって思って!」
「ふーん。まぁ、大体誰がそう言うこと言ってるのかは検討がつくけど、俺から言わせれば、それは自分が仕事出来るようになってから言えって話だ。売上も把握しないで大体でリスト作ってるのバレバレだし、そんな奴に月麦がそんな風に思われてるのは気に食わねーな。」

冴くんはそう言うと、デスクに頬杖をつき「でも、だからって無理し過ぎるなよ?月麦は、いつも頑張り過ぎるから。まぁ、そうゆうとこ嫌いじゃないけど。」と言った。

"嫌いじゃない"

その言葉にちょっと喜ぶわたし。

でも、いやいや。
別に好きって言われたわけじゃない!

それに仕事の面で"嫌いじゃない"って言われただけだし、個人的な気持ちとは別!

わたしは「わたし、頑張るから!だから、今日は少し残業してから帰る!野菜ジュースありがとね!」と言った。

すると冴くんは「月麦は、もう充分頑張ってるよ。」と言い、中村くんのパソコンに向かうと「付き合うよ。俺は何したらいい?」と訊いてきた。