そして、定時の18時。
次々と帰って行く社員さんたち。
わたしは帰って行く人たちに「お疲れ様です!」と言いながら、まだ自分のデスクから動かずにいた。
すると、中村くんが「風早さん、残業ですか?」と声を掛けてきてくれた。
「うん、まだやりたい事があるから。中村くんは先に帰ってていいよ!今日もお疲れ様!」
「今日も風早さんには迷惑をかけてしまって、申し訳ありませんでした。助かりました。それでは、お先に失礼します。」
中村くんは低姿勢でそう言うと、申し訳なさそうに退勤して行った。
わたしは、パソコンに向かうと新作ゲームの確認をし、予約可能なタイトルを選んでいった。
そして、今までの各店舗のゲームの売上を確認する。
んー、前々から思ってたけど、A店とK店はプレ◯テのソフトがあまり売れてないんだよなぁ。
取り扱い任◯堂だけでいいかもなぁ。
各店舗の売上を見ながらそう考えていると、「お疲れ。」と言う言葉と共にわたしのデスクに紙パックの野菜ジュースが置かれた。
ふと見上げると、そこには冴くんの姿があった。
「冴くん。」
「今日も残業か?」
「うん、まだやっておきたい事があって。」
「野菜ジュース、柑橘系にしといたぞ。月麦、普通の野菜ジュースはダメだったよな?」
「さすが、冴くん!分かってるね〜!」
「また月麦に倒れられたら困るからな。野菜ジュースくらい飲んどけ。」
冴くんとは、勤務中は"主任"と"風早"と呼び合っているが、周りに誰も居ない時は以前のように"冴くん"と"月麦"と呼び合っているのだ。



