春よ、瞬け。


「さくら さくら 今咲き◯る
 刹那◯散りゆく さ◯めと知って
 さらば 友よ 旅立ちの◯き
 変◯らない その思い◯ 今♪」

冴くんはピアノを弾き終えると、ゆっくりと鍵盤から指を離した。

「しばらく弾いてなかったけど、案外弾けるもんだな。」

そう言って、冴くんはずっと横で冴くんの演奏を聴き、歌っていたわたしを見上げた。

「月麦、何で泣いてんだよ。」

冴くんは切なげに微笑みながら、そう言った。

そう、わたしは泣いていた。

冴くんの弾く"さくら"を聴いていたら、自然と感情が込み上げてきて、またあの頃みたいに冴くんのピアノに合わせて歌えて、嬉しかった。

「自然と涙が出てきちゃった。冴くんの弾く"さくら"が、好きだから。"さくら"は、わたしにとって冴くんとの大切な思い出の曲なの。だから、、、疲れた時とか、嫌なことがあった時は"さくら"を聴いてた。元気がもらえる気がして。」

わたしがそう言うと、冴くんは立ち上がり、わたしを抱き締めた。

「え、、、冴くん?」

突然、冴くんに抱き締められ、驚くわたし。

わたし、、、今、冴くんの腕の中にいる、、、
驚きと共に高鳴る心臓は、耳にまで鼓動が聞こえてきた。

「それなら、イヤホンで聴くんじゃなくて、うちに来いよ。いつでも弾いてやるから。」

耳元で響く冴くんの声。

わたしはその言葉に再び、涙が溢れ出した。