「確認お願いします。」
わたしがそう言い、冴くんにリストを渡すと、一通り目を通した冴くんは「"昆虫"と"恐竜"が消えてるが、その理由は?」と尋ねた。
「"昆虫"と"恐竜"は、わたしが入社した当初の主任だった梶主任の指示で夏休み中の子ども向けにと毎年リストに入れ続けてきましたが、実際はどの店舗も売れ行きが悪く、結局在庫が残って売変して売り切るのがやっとの状態でした。なので、今回は思い切って、二つともタイトルから外しました。」
わたしがそう説明すると、冴くんは「なるほど。」と言い、再びリストに目を通した。
「それから!これ見てください!」
わたしはそう言って、あるタイトルを指差した。
「ファイナルファ◯タジーVIIリバ◯スのイチ番くじが出るんです!これは絶対売れます!」
「うわぁ、懐かしいなぁ。」
「主任も好きなゲームですよね?!これは昔からのファンに必ず受けます!これラストワンがセフィ◯スでB賞にザッ◯スがいるんですよ!これは熱いです!」
「まぁ、確かにこのキャラのグッズはほとんど出回っていないから、人気は出るだろうな。」
「そうなんです!でも、あまり在庫を持ち過ぎるのは避けたいので、マニアックなお客さんが多いA店と大型店のH店だけ在庫を3ロッドくらいにして、あとの店舗は1ロッドでいいかと思っています。」
「そうだな。納品数は、風早に任せるよ。」
「はい、ありがとうございます!あー、これわたしも欲しい〜!」
「はいはい、わかったわかった。本当にお前はF◯VIIの話になると熱くなるよな。」
「だって!」
「もう分かったから。発売日のバラつきもないし、これで店舗に連絡しておいてくれ。」
冴くんにOKをもらったわたしは「はい!」と返事をすると、自分のデスクに戻り、早速店舗への連絡をする準備を始めた。
すると、わたしとの話を終えた冴くんは「中村。ちょっと来い。」と、わたしと同じ住余HD担当社員の中村くんを呼んだ。
中村くんは、もう怒られていることを悟っているような表情で冴くんの元へ向かって行った。



