春よ、瞬け。


すると、みんなが帰り支度をしている時、「深見さん。」と冴くんの声が響いた。

「帰る支度をしてるってことは、CLA打てるようになったってことだよね?」

冴くんの圧をかけるような低い声に、深見さんは「えっと、何となくは、、、」と曖昧に答え、笑って誤魔化そうとしていた。

「今日中に覚えるように言ったよね?帰る前に、どこまで出来るようになったか確認するから、デスクに戻って。」
「え、今からですか?!」
「"今日中に"って、言ったよね。」

帰り支度をして、もう帰る気満々だった深見さんは顔を引きつらせ、渋々自分のデスクへと戻った。

「うわぁ〜、さすが鬼上司。厳しい〜」
「でも東郷主任って、厳しいけど普通にかっこよくない?」
「まぁ、確かにね。それは認める。」

さっさと帰って行く社員さんたちがヒソヒソと話しているのが聞こえてくる。

事務所に残る、冴くんと深見さん。

事務所に二人きりになるんだ、、、
なんて、何嫉妬してるんだろ。

わたしはバッグを肩に掛けると事務所を出た。

今日は、何食べようかなぁ。

"栄養あるもの食え"

冴くんから言われた言葉を思い出す。

栄養あるもの、、、って、何だろう。