「冴くん。」
「ごめん、今のは忘れてくれ。」
冴くんはそう言うと、棚の一番上にあった、背表紙に"喪中サンプル"と書かれたファイルを取ってくれた。
「高いところにあって、この時期に必要なものといえば、これだろ?」
「あ、うん、、、ありがとう。」
「じゃあ、無理しない程度に頑張れよ。」
冴くんはそう言って、資料保管庫から出て行った。
冴くんが居なくなり、ポツンと一人残ったわたし。
あれ、、、寂しい。
わたしの方が先に冴くんを避けようとしてたくせに、、、
何でこんな寂しいの?
資料保管庫から出て行く時の冴くんの背中が、わたしの目に焼き付いて離れず、今更遅いけれど冴くんを避けようとした自分を悔いたのだった。
そして、資料保管庫から事務所に戻り、仕事をしようとするが、なかなか集中出来ず、その後なかなか作業は進まなかった。
頭の中で繰り返し再生される、冴くんの後ろ姿。
自分のデスクから見える冴くんは、ずっとパソコンと向き合い、忙しそうにしていた。
さっきのこと、気にしてるのはわたしだけだよね。
あの後から結局、ほぼ仕事が進まなかったわたしは、とりあえず今日中に終わらせないといけない仕事は済んでいたので、定時になると帰る支度を始めた。



