春よ、瞬け。


あぁ、、、癒される。

冴くんが弾くピアノの音色が蘇る。

そう思いながら、耳からの癒しに浸っていると、片耳のイヤホンが外れた。

え?と思い、イヤホンが外れた方の横を見上げると、そこにはわたしの片耳のイヤホンを持つ、冴くんの姿があった。

「わぁ!冴くん!」
「また残業しながら、何聴いてんだ?」

そう言い、わたしの片耳のイヤホンをつけようとする冴くん。

「あー!」

わたしは冴くんがイヤホンをつけるのを阻止しようとした。

しかし間に合わず、冴くんは耳にイヤホンをつけてしまった。

すると、イヤホンから流れてくる曲を聴き、冴くんはハッと驚きの表情を浮かべると「この曲、、、」と呟き、わたしの方を見た。

あぁ、、、バレてしまった。

わたしの癒しが、、、

わたしはヘヘッと笑って誤魔化すと、「冴くんがよくこの曲弾いてたから、懐かしくて聴いてたの!」と言った。

「卒業式の時の為に、この曲、、、練習したなぁ。」

冴くんは懐かしむようにそう言うと、そのまま最後までわたしと一緒に"さくら"を聴き入っていた。