春よ、瞬け。


「いただきまーす!」

そう言い手を合わせると、わたしはまずは玉子と玉ねぎの味噌汁をすすった。

「はあ〜、、、」

幸せの溜め息が出る。
あの頃と変わらぬ味。

わたしにとっての馴染みのある味は、母の味ではなく、冴くんの味だ。

「これこれ。」

そう言ったあと、わたしはピーマンの肉詰めを箸で掴み、口へと運んだ。

懐かしい味。
ジューシーなお肉に苦味のないピーマン。
そして、ピーマンの肉詰めにかかっている冴くん特製のソース。

何も変わらない、あの頃のままの味だった。

「ん〜、、、幸せ。」
「本当に月麦は旨そうに食うよな。こんなんで幸せになってくれるなら、いくらでも作るよ。」
「これでまた仕事頑張れる!」

わたしがそう言うと、冴くんはフッと笑い、優しい表情でわたしが食べる姿を眺めていた。

「本当、月麦はそうゆうとこ、か、、、」
「ん?か?」
「いや、何でもない。」
「え、何?!気になるんだけど!」
「いいから、食え。」

冴くん、何て言おうとしたの?

か、、、か、、、か、、、

かわいい、、、何てわけない!
かわいそう?変わってる?
まぁ、そんなところかな。