春よ、瞬け。


「ほら、出来たぞー。」

そう言って作った料理を食卓テーブルに運んで来る冴くん。

わたしはウキウキしながら、食卓テーブルの方へと移動した。

「わぁ!ピーマンの肉詰め!」
「月麦、好きだったよな?」
「よく覚えてたねぇ!」
「だって、まだ月麦が小学生だった頃、ピーマンの肉詰め作った時、めちゃくちゃ喜んでたから。小学生ってピーマン嫌いなイメージあったのに、月麦は美味しそうに食べてて、あの時の驚きは忘れられないなぁ。」

わたしは食卓テーブルの椅子に座ると、「ピーマン好きになったのは、冴くんのおかげなんだよ?」と言った。

「えっ?俺?」
「うん。いつも両親の帰りが遅くて、お腹空かせてるわたしに冴くんは色んな料理を作ってくれたじゃない?その中でピーマンが入ってた時、"うわっ、ピーマンだ!"って思ったんだけど、せっかく冴くんが作ってくれたものを残したくなくて、頑張って食べてみたら、ピーマンを美味しいと思えたの!だから、ピーマン克服出来たのは、冴くんのおかげなんだよ?」

わたしがそう言うと、冴くんは「そうだったのか。」と言い、「あ、あと味噌汁もあるから。」と言った。

「もしかして、玉子と玉ねぎの味噌汁?」
「正解。」
「わぁ〜!わたしの好きなものばかりじゃん!」

そして、テーブルの上に揃った冴くんが作った料理たちを目の前に、わたしは懐かしい気持ちになった。

それと同時にあの頃密かに抱いていた、冴くんへの恋心も思い出す。

あの頃だけじゃない。
わたし、、、今でも、あの頃の冴くんへの気持ちを抱いたままだ。