いきなりの婚約破棄からはじまる幸せ確定IFルート


 ましてや、貴族には模範的な行動が求められる。自堕落な生活に身を置いている者も存在するが、民衆から革命を起こされれば落ちるのは自分たちの首なのだ。

 王族に近い公爵家の者が、国民感情を敢えて逆撫でにすることは、許されない。

 いや、そもそも神の教えに背く行為だ。

 友人で、なかったとしても……誰かの伴侶を横取りすることなど。

 ルシールのことに二年ほど悩み続け体調を壊すまでに至り、ついに僕は、ロベルトに打ち明けてしまった。

 彼へ罪深い恋への懺悔をしたのだ。

 『君の婚約者を好きになってしまった』と覚悟を持って告げた僕に対し、ロベルトはあっけらかんとして、こう言ったのだ。


――――ああ。ルシールのことか。ならば、彼女より上の身分を持つ貴族令嬢を、代わりに僕に紹介してくれたならば、君に譲ることにするよ。