「もちろんです。ルシール嬢。また、明日手紙を書きますよ。当分は……公の場に出ない方が良いでしょうから」
私は彼の言葉に、無言で頷いた。
公の場で、婚約破棄されたのだ。元より、そのつもりだった。身を潜めて、ほとぼりが冷めるのを待つつもりで……。
「僕の領地に遊びに行くのも良いですね。また、考えておいてください」
ニコラス様は御者が扉を開いたことを確認し、私をエスコートしてくれた。
そして、モートン伯爵である私の父が出て来たから『ルシール嬢は疲れていると思いますし、僕から説明します』と、今夜のことを代理で説明してくれるようだ。
お父様に……ニコラス様はどこまで、説明するのかしら。
ぼんやりとはそう思ったのだけれど、私はなんだか、夢の中に居るような気がして、ふわふわした気分のままでドレスを脱ぎ湯浴みをして、すぐに眠りについたのだった。
◇◆◇
婚約破棄をした翌日の朝。
友人ロベルトは待ちかねたかのように、我がブライアント公爵邸へとやって来た。
「やあ。ニコラス。顔色も良くなっているね。なによりだよ」
「おかげさまでな」
私は彼の言葉に、無言で頷いた。
公の場で、婚約破棄されたのだ。元より、そのつもりだった。身を潜めて、ほとぼりが冷めるのを待つつもりで……。
「僕の領地に遊びに行くのも良いですね。また、考えておいてください」
ニコラス様は御者が扉を開いたことを確認し、私をエスコートしてくれた。
そして、モートン伯爵である私の父が出て来たから『ルシール嬢は疲れていると思いますし、僕から説明します』と、今夜のことを代理で説明してくれるようだ。
お父様に……ニコラス様はどこまで、説明するのかしら。
ぼんやりとはそう思ったのだけれど、私はなんだか、夢の中に居るような気がして、ふわふわした気分のままでドレスを脱ぎ湯浴みをして、すぐに眠りについたのだった。
◇◆◇
婚約破棄をした翌日の朝。
友人ロベルトは待ちかねたかのように、我がブライアント公爵邸へとやって来た。
「やあ。ニコラス。顔色も良くなっているね。なによりだよ」
「おかげさまでな」



