けれど、幼い頃から婚約者が居た私からすると、物語に出てくるヒーローのように、ただ憧れるだけの存在であった。
……恋愛対象などでは、決してなかったのだ。
「えっと……その、ニコラス様。ごめんなさい……その、驚いてしまって」
「謝罪は……受けられないということ?」
「いえ! いえ。そういう訳ではありません。けれど、ニコラス様はロベルトのご友人。私の中では決してそういう対象にしてはいけないと思って居て……」
「けれど、今は……ロベルトは、ルシール嬢と婚約していません」
そうきっぱりと言い切ったニコラス様に、私は息が止まりそうになった。
それは、確かにそうなのよ。
ロベルトは私に、公の場で婚約破棄を言い渡した……つまり、彼の方から、私との縁を切ったのだ。
今ではもう、無関係の他人だと言い切って良い。
私には何の非もないのに、あのような婚約破棄をしたなら、私の両親も激怒して、カーター侯爵家との関係は終わりだろう。
……だから、ここでニコラス様に誰に遠慮をすることがあるのだろうかと問われれば、誰にも遠慮する必要なんて要らない。
……恋愛対象などでは、決してなかったのだ。
「えっと……その、ニコラス様。ごめんなさい……その、驚いてしまって」
「謝罪は……受けられないということ?」
「いえ! いえ。そういう訳ではありません。けれど、ニコラス様はロベルトのご友人。私の中では決してそういう対象にしてはいけないと思って居て……」
「けれど、今は……ロベルトは、ルシール嬢と婚約していません」
そうきっぱりと言い切ったニコラス様に、私は息が止まりそうになった。
それは、確かにそうなのよ。
ロベルトは私に、公の場で婚約破棄を言い渡した……つまり、彼の方から、私との縁を切ったのだ。
今ではもう、無関係の他人だと言い切って良い。
私には何の非もないのに、あのような婚約破棄をしたなら、私の両親も激怒して、カーター侯爵家との関係は終わりだろう。
……だから、ここでニコラス様に誰に遠慮をすることがあるのだろうかと問われれば、誰にも遠慮する必要なんて要らない。



