家に着くと、真っ先に自分の部屋に向かってベッドにバッタンキューとダイブした。
帰り道、頭の中が上の空だった。
せっかく常盤君と同じクラスになったのに。常盤君の好きなタイプを聞けたのに。
悪女が好きなんてそりゃ、ないよ。
「ねえ、あのさ。悪女ってどういう人?」
その日の夕飯、私がぼそっとつぶやくとお母さんとお父さんが同時にむせた。
「学校で悪女とか言われたのか?」
「いや、そういうわけじゃないけど」
「じゃあ、どうしてそんなこと聞くの?」
「い、いや、新しいクラスで悪女って言われている人がいてさ。悪女ってどんな人のこと言うのかなーっと思って」
もちろん、そんな人はいない。
何ならあなたたちの娘は今、その悪女になろうかどうかちょっと迷っている。
「悪女って一口に言っても難しいけどな」
お父さんが考え込むように言葉を選ぶ。
「悪女って性格の悪い女のことでしょ? いるわよ、お母さんの職場にもいーっぱい」
なぜかお母さんは楽しそうにそんなことを言っている。
いやいや、職場に悪女がいっぱいいたら困るでしょ。
「でも、そういう人が魅力的に映ることもあるんだよな」
「ちょっと、それどういう意味?」
じろっとお母さんがお父さんを睨む。それだけでお父さんはもうたじたじだ。
「お母さんが悪女って意味じゃないよ」
「そんなのわかっているわよ。あなた、もしかして悪女が好きなの?」
「そういうわけじゃないけどさ」
夕飯を食べてシャワーを浴びると、部屋のベッドにぐでっと横になった。
お父さんとお母さんに聞いても、悪女のことよくわからなかった。
強いて言えばお母さんが意外と悪女気質があるかもしれないってことだ。
常盤君は、どうして悪女のことが好きなんだろう?
お父さんの言う通り、男の人って悪女っぽい女の人が好きなのかしら。
そうだ、常盤って歴史が好きだったよね。
歴史上にも悪女で有名な人っているのかな。
実は私、歴史は苦手。人の名前とか何が何やらちんぷんかんぷん。
何とか幕府とかもよく違いがわからない。
スマホかの検索スペースに「悪女 歴史上の人物」って打ち込む。
何だか開いちゃいけない扉を開く気分……。
ええい、迷ってないで開いちゃえ!
思い切ってスマホの検索部分をタップする。
ポンポンポンと歴史上の悪女がずらりと出てきた。
うへー。歴史上に悪女っていっぱいいるんだね……。
検索のトップページに日本の三大悪女の見出しがついている。
うわ、これすっごい常盤君が好きそう。
ここまできたら、調べるしかないよね。
ページを開くと三人の名前が出てきた。
歴史好きにはよく知っている名前かもしれない。
でも、正直、私は全然わからないよ……。
そのうちの一人、茶々って名前が飛び込んできた。
「なんて、可愛い名前なの!」
思わず独り言を呟いちゃう。
茶々さんって戦国時代の中でも超絶美人だったんだ。
名前も可愛いし納得しちゃうよね。
なんてことを思っていたら。
ってこの人、豊臣秀吉の奥さんなの!?
豊臣秀吉はいくら歴史が苦手とはいえ、知っている。
織田信長の後を継いで、日本を天下統一した人だよね。
天下人の奥さん……。確かに強烈そう。
しかも大坂夏の陣を引き起こしたって書かれている。
背筋がゾッとした。
自分の目的のために戦争を始めるって、すっごく強い意志を持っていたってことだよね。
そういうところは私もちょっと見習った方がいいかも。
なんてね……。
「舞奈、いつまで起きているの?」
いけない、寝る時間をとっくに過ぎてた。
調べるのに夢中で時計を全然見てなかったよ。
「今、寝るとこ!」
カチッと電気を消してベッドの中に潜り込んだ。
頭の中に茶々さんの姿が浮かび上がる。
もちろん、私の想像だけど。
「茶々さん、悪女って何ですか?」
いつの間にか、私はすっかり夢の中に引き込まれていた。
帰り道、頭の中が上の空だった。
せっかく常盤君と同じクラスになったのに。常盤君の好きなタイプを聞けたのに。
悪女が好きなんてそりゃ、ないよ。
「ねえ、あのさ。悪女ってどういう人?」
その日の夕飯、私がぼそっとつぶやくとお母さんとお父さんが同時にむせた。
「学校で悪女とか言われたのか?」
「いや、そういうわけじゃないけど」
「じゃあ、どうしてそんなこと聞くの?」
「い、いや、新しいクラスで悪女って言われている人がいてさ。悪女ってどんな人のこと言うのかなーっと思って」
もちろん、そんな人はいない。
何ならあなたたちの娘は今、その悪女になろうかどうかちょっと迷っている。
「悪女って一口に言っても難しいけどな」
お父さんが考え込むように言葉を選ぶ。
「悪女って性格の悪い女のことでしょ? いるわよ、お母さんの職場にもいーっぱい」
なぜかお母さんは楽しそうにそんなことを言っている。
いやいや、職場に悪女がいっぱいいたら困るでしょ。
「でも、そういう人が魅力的に映ることもあるんだよな」
「ちょっと、それどういう意味?」
じろっとお母さんがお父さんを睨む。それだけでお父さんはもうたじたじだ。
「お母さんが悪女って意味じゃないよ」
「そんなのわかっているわよ。あなた、もしかして悪女が好きなの?」
「そういうわけじゃないけどさ」
夕飯を食べてシャワーを浴びると、部屋のベッドにぐでっと横になった。
お父さんとお母さんに聞いても、悪女のことよくわからなかった。
強いて言えばお母さんが意外と悪女気質があるかもしれないってことだ。
常盤君は、どうして悪女のことが好きなんだろう?
お父さんの言う通り、男の人って悪女っぽい女の人が好きなのかしら。
そうだ、常盤って歴史が好きだったよね。
歴史上にも悪女で有名な人っているのかな。
実は私、歴史は苦手。人の名前とか何が何やらちんぷんかんぷん。
何とか幕府とかもよく違いがわからない。
スマホかの検索スペースに「悪女 歴史上の人物」って打ち込む。
何だか開いちゃいけない扉を開く気分……。
ええい、迷ってないで開いちゃえ!
思い切ってスマホの検索部分をタップする。
ポンポンポンと歴史上の悪女がずらりと出てきた。
うへー。歴史上に悪女っていっぱいいるんだね……。
検索のトップページに日本の三大悪女の見出しがついている。
うわ、これすっごい常盤君が好きそう。
ここまできたら、調べるしかないよね。
ページを開くと三人の名前が出てきた。
歴史好きにはよく知っている名前かもしれない。
でも、正直、私は全然わからないよ……。
そのうちの一人、茶々って名前が飛び込んできた。
「なんて、可愛い名前なの!」
思わず独り言を呟いちゃう。
茶々さんって戦国時代の中でも超絶美人だったんだ。
名前も可愛いし納得しちゃうよね。
なんてことを思っていたら。
ってこの人、豊臣秀吉の奥さんなの!?
豊臣秀吉はいくら歴史が苦手とはいえ、知っている。
織田信長の後を継いで、日本を天下統一した人だよね。
天下人の奥さん……。確かに強烈そう。
しかも大坂夏の陣を引き起こしたって書かれている。
背筋がゾッとした。
自分の目的のために戦争を始めるって、すっごく強い意志を持っていたってことだよね。
そういうところは私もちょっと見習った方がいいかも。
なんてね……。
「舞奈、いつまで起きているの?」
いけない、寝る時間をとっくに過ぎてた。
調べるのに夢中で時計を全然見てなかったよ。
「今、寝るとこ!」
カチッと電気を消してベッドの中に潜り込んだ。
頭の中に茶々さんの姿が浮かび上がる。
もちろん、私の想像だけど。
「茶々さん、悪女って何ですか?」
いつの間にか、私はすっかり夢の中に引き込まれていた。


