夏休みが明けた八月の終わり。
生徒会の総選挙まであと一ヶ月と迫ってきていた。
「舞奈、新しい校内新聞読んだよ!」
朝、教室に入るなり咲良と姫華が慌てて飛び込んできた。
「常盤君、すごいですわね」
「普段はクールなのに学校のために色々頑張っているんだね」
うんうん、いい感じ。
支持率はどんどん急上昇。
校内新聞の作戦はすごくうまくいっている。
今では学校中の生徒が更新されるのを注目しているんだ。
広報関係の仕事は副会長である常盤君の管轄になっている。
だから会長が忙しい時は代わりに常盤君が対応することもあるんだ。
もちろん、それをすかさず校内新聞の記事にする。
そしたら今まで生徒会活動に興味がなかった人たちも注目するようになってくれたんだ。
「私たちの見えないところで生徒会って頑張っているんだね」
「いつもありがとうね、舞奈」
「私なんて全然だよ」
これは謙遜じゃなくて本心だ。
私がやっている仕事はほとんど常盤君のサポート。
重要な仕事は諏訪会長や常盤君、一色君の生徒会役員が進めている。
「でも、校内新聞は舞奈のアイデアなんでしょ?」
咲良が顔を覗き込んで聞いてくる。
「それは、そうだけど」
「校内新聞のおかげで生徒会のことがわかるようになったんだよ」
「そうですよ。だから舞奈もすっごく頑張ってますわ」
二人がにひひと楽しそうに笑う。
その笑顔を見ていると心が少し軽くなる。
生徒会の仕事をしてよかったって気になるんだ。
最初はよくわからないまま生徒会に入ったけど。
学校のために、天聖学園に通う生徒のために活動する生徒会が今では好きなんだ。
「でもやっぱりかっこいい写真の常盤君があの常盤君と同じとは思えないな」
常盤君はいつものように机に座って険しい顔をして本を読んでいる。
その真剣そうな顔もかっこよくて好きなんだけど。
今日の新聞に載っているのは天聖学園を代表して市のボランティア活動に参加した時の写真だ。
市の広報誌に載るかもしれないからと、いつも以上に笑顔で写真に写ったんだ。
「それもそれでギャップ萌えですわ」
語尾にハートがつく勢いで、姫華がキュンキュンしている。
一色君派だったのに今ではすっかり常盤君推しだ。
常盤君の人気が増えるの嬉しいんだけど……。
なんでだろう、胸の奥がズキズキと痛む。
「私の周りでも一色君派から常盤君派に変えた人、増えてますわよ」
それって生徒会の選挙にも影響あるのかな。
いや、これは喜ばしいことだ。
素直に喜ばなきゃいけないのに。
あんまり嬉しいと思えない自分がいる。
何でだろう。常盤君を生徒会長にするために頑張っているのに。
「舞奈、どうしました?」
「暗い顔してたよ。何かあった?」
「いや、明日提出の数学の宿題やってなかったの思い出しただけ」
「あ、それ私もやってない」
「二人ともいけませんわね」
ふう。何とか誤魔化せたよね。
常盤君の方をチラッと見る。
まるで自分には何も関係ないかのように、黙って本を読んでいた。
生徒会の総選挙まであと一ヶ月と迫ってきていた。
「舞奈、新しい校内新聞読んだよ!」
朝、教室に入るなり咲良と姫華が慌てて飛び込んできた。
「常盤君、すごいですわね」
「普段はクールなのに学校のために色々頑張っているんだね」
うんうん、いい感じ。
支持率はどんどん急上昇。
校内新聞の作戦はすごくうまくいっている。
今では学校中の生徒が更新されるのを注目しているんだ。
広報関係の仕事は副会長である常盤君の管轄になっている。
だから会長が忙しい時は代わりに常盤君が対応することもあるんだ。
もちろん、それをすかさず校内新聞の記事にする。
そしたら今まで生徒会活動に興味がなかった人たちも注目するようになってくれたんだ。
「私たちの見えないところで生徒会って頑張っているんだね」
「いつもありがとうね、舞奈」
「私なんて全然だよ」
これは謙遜じゃなくて本心だ。
私がやっている仕事はほとんど常盤君のサポート。
重要な仕事は諏訪会長や常盤君、一色君の生徒会役員が進めている。
「でも、校内新聞は舞奈のアイデアなんでしょ?」
咲良が顔を覗き込んで聞いてくる。
「それは、そうだけど」
「校内新聞のおかげで生徒会のことがわかるようになったんだよ」
「そうですよ。だから舞奈もすっごく頑張ってますわ」
二人がにひひと楽しそうに笑う。
その笑顔を見ていると心が少し軽くなる。
生徒会の仕事をしてよかったって気になるんだ。
最初はよくわからないまま生徒会に入ったけど。
学校のために、天聖学園に通う生徒のために活動する生徒会が今では好きなんだ。
「でもやっぱりかっこいい写真の常盤君があの常盤君と同じとは思えないな」
常盤君はいつものように机に座って険しい顔をして本を読んでいる。
その真剣そうな顔もかっこよくて好きなんだけど。
今日の新聞に載っているのは天聖学園を代表して市のボランティア活動に参加した時の写真だ。
市の広報誌に載るかもしれないからと、いつも以上に笑顔で写真に写ったんだ。
「それもそれでギャップ萌えですわ」
語尾にハートがつく勢いで、姫華がキュンキュンしている。
一色君派だったのに今ではすっかり常盤君推しだ。
常盤君の人気が増えるの嬉しいんだけど……。
なんでだろう、胸の奥がズキズキと痛む。
「私の周りでも一色君派から常盤君派に変えた人、増えてますわよ」
それって生徒会の選挙にも影響あるのかな。
いや、これは喜ばしいことだ。
素直に喜ばなきゃいけないのに。
あんまり嬉しいと思えない自分がいる。
何でだろう。常盤君を生徒会長にするために頑張っているのに。
「舞奈、どうしました?」
「暗い顔してたよ。何かあった?」
「いや、明日提出の数学の宿題やってなかったの思い出しただけ」
「あ、それ私もやってない」
「二人ともいけませんわね」
ふう。何とか誤魔化せたよね。
常盤君の方をチラッと見る。
まるで自分には何も関係ないかのように、黙って本を読んでいた。


