放課後になり、私たち三人は一階の空き教室に集まった。
これから私たちの秘密の作戦が始まる。
「ボランティア、始めるよ」
次の作戦はボランティア活動のアピールだ。
校内新聞の効果もあり、常盤君が諏訪会長とボランティアを頑張っていることは多くの人に知ってもらった。
まだみんなの関心があるうちにボランティアをやっているところをアピールする。
諏訪会長がボランティアに積極的なのは学校のみんなが知っている。
これは会長不在の代理としてのアピールにもつながる。
放課後は部活があるからグラウンドや体育館に人が集まっている。
なるべく人目につく場所でやったほうが効果的だ。
本当はボランティアってこんな不純な動機でするもんじゃないってわかっている。
だけど、これはチャンスだ。
悪女ならチャンスとあればどんな手も使うはず……だよね?
常盤君がボランティアを積極的にやっていたのは事実だから嘘じゃないもんね。
まずは大きな袋を持ってグラウンドのゴミ集めだ。
どういうわけか、グラウンドにはパンの袋などのゴミがいつも落ちている。
部活をやっている誰かがポイ捨てしているに違いない。
「あれ、校内新聞に載ってた副会長じゃね?」
グラウンドを周回している野球部が気づいてくれた。
よしよし、アピールの効果あり!
じわじわと常盤君に流れが来ているぞ。
爽やかな坊主の集団の中で意地悪そうに笑っている部員がいた。
何かヒソヒソ隣の人に話している。
野球部の集団が私たちの前を通り過ぎる。
その時、「いい子ぶりやがって、特別枠が」と小さく聞こえた。
「ちょっと、何よあいつ」
思わずムカッてしちゃう。
「気にするな。あいつは一年の時同じクラスだったんだ。金持ちもやることは小さいよな」
常盤君が落ちていたお菓子の袋をじっと見つめて、ゴミ袋に入れる。
「……こういうのも俺たち特別枠のせいにされるんだろうけどさ」
常盤君の一言がズカッと刺さる。
普通枠の人が特別枠をばかにするのはよくあること。
周りからそう言われるのが嫌で、会長と一緒にボランティアしてたのかな。
遠くでサッカー部の人たちも私たちを見て手を振っている。
部員の多い野球部とサッカー部にしっかりアピールができれば上々だ。
「ボランティアを感謝されるのは嬉しいけど、ゴミを捨ててくれなきゃもっと嬉しいけどな」
ぼそっと常盤君が呟く。
やっぱり生徒会長には常盤君みたいな優しい人になってもらいたい。
「平井、何笑っているんだよ」
「別に笑ってないけど」
膨れ上がったゴミ袋を軽々しく持つと、今度は花壇に向かう。
生徒会が中心となって花壇の手入れや花の水やりをしているんだよ。
花壇の世話はみんなやりたがらないけど、諏訪会長は毎日水をあげているんだって。
今までボランティアってしたことがなかった。
学校をきれいにしたり、二人と話しながら何かをするのは結構楽しいかも。
そんなこんなで張り切って花壇に向かったんだけど……。
「おい、これどういうことだよ」
目の前に信じられない光景が広がっていた。
綺麗にレンガで整理された花壇がぐちゃぐちゃにされて花も何本か引き抜かれている。
ひどい、ひどすぎる。誰がこんなことを。
胸の中にひりついた痛みとメラメラとした怒りがわく。
「許せねーな」
常盤君の顔が今まで見た中で一番険しい表情をしていた。
これから私たちの秘密の作戦が始まる。
「ボランティア、始めるよ」
次の作戦はボランティア活動のアピールだ。
校内新聞の効果もあり、常盤君が諏訪会長とボランティアを頑張っていることは多くの人に知ってもらった。
まだみんなの関心があるうちにボランティアをやっているところをアピールする。
諏訪会長がボランティアに積極的なのは学校のみんなが知っている。
これは会長不在の代理としてのアピールにもつながる。
放課後は部活があるからグラウンドや体育館に人が集まっている。
なるべく人目につく場所でやったほうが効果的だ。
本当はボランティアってこんな不純な動機でするもんじゃないってわかっている。
だけど、これはチャンスだ。
悪女ならチャンスとあればどんな手も使うはず……だよね?
常盤君がボランティアを積極的にやっていたのは事実だから嘘じゃないもんね。
まずは大きな袋を持ってグラウンドのゴミ集めだ。
どういうわけか、グラウンドにはパンの袋などのゴミがいつも落ちている。
部活をやっている誰かがポイ捨てしているに違いない。
「あれ、校内新聞に載ってた副会長じゃね?」
グラウンドを周回している野球部が気づいてくれた。
よしよし、アピールの効果あり!
じわじわと常盤君に流れが来ているぞ。
爽やかな坊主の集団の中で意地悪そうに笑っている部員がいた。
何かヒソヒソ隣の人に話している。
野球部の集団が私たちの前を通り過ぎる。
その時、「いい子ぶりやがって、特別枠が」と小さく聞こえた。
「ちょっと、何よあいつ」
思わずムカッてしちゃう。
「気にするな。あいつは一年の時同じクラスだったんだ。金持ちもやることは小さいよな」
常盤君が落ちていたお菓子の袋をじっと見つめて、ゴミ袋に入れる。
「……こういうのも俺たち特別枠のせいにされるんだろうけどさ」
常盤君の一言がズカッと刺さる。
普通枠の人が特別枠をばかにするのはよくあること。
周りからそう言われるのが嫌で、会長と一緒にボランティアしてたのかな。
遠くでサッカー部の人たちも私たちを見て手を振っている。
部員の多い野球部とサッカー部にしっかりアピールができれば上々だ。
「ボランティアを感謝されるのは嬉しいけど、ゴミを捨ててくれなきゃもっと嬉しいけどな」
ぼそっと常盤君が呟く。
やっぱり生徒会長には常盤君みたいな優しい人になってもらいたい。
「平井、何笑っているんだよ」
「別に笑ってないけど」
膨れ上がったゴミ袋を軽々しく持つと、今度は花壇に向かう。
生徒会が中心となって花壇の手入れや花の水やりをしているんだよ。
花壇の世話はみんなやりたがらないけど、諏訪会長は毎日水をあげているんだって。
今までボランティアってしたことがなかった。
学校をきれいにしたり、二人と話しながら何かをするのは結構楽しいかも。
そんなこんなで張り切って花壇に向かったんだけど……。
「おい、これどういうことだよ」
目の前に信じられない光景が広がっていた。
綺麗にレンガで整理された花壇がぐちゃぐちゃにされて花も何本か引き抜かれている。
ひどい、ひどすぎる。誰がこんなことを。
胸の中にひりついた痛みとメラメラとした怒りがわく。
「許せねーな」
常盤君の顔が今まで見た中で一番険しい表情をしていた。


